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ホーム > 学部・大学院 > RYUKA講座 > 2007年~2008年 >  第30回 梅田教授

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更新日:2010年7月13日

RYUKA講座 20. 地名で読むイギリスの成り立ち

2007.03.10  講師:梅田 修(情報学部教授・修士【教育学】)

英国の成り立ちと地方名

イギリスはイングランド(England), スコットランド(Scotland), ウェールズ(Wales), 北アイルランド(Northern Ireland)の4つの「国」の連合王国で、正式名を「グレートブリテン及び 北アイルランド連合王国」(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)という。アメリカ合衆国をthe United States(US)というのに対してイギリスをthe United Kingdom(UK)と呼ぶことが多い。

イギリスを構成するそれぞれの「国」の独立性は高く、スコットランドやウェールズでは今日でも独立への動きがある。俳優ショーン・コネリー(Sean Connery)はスコットランドの独立を目指すスコットランド民族党の副党首だった。サッカーのワールドカップにおけるベッカム(David Beckham)は英国代表ではなくイングランド代表であった。

英国地方名

グレートブリテン及び
北アイルランド連合王国

Englandは「アングル人の土地」という意味のAnglalandが語源であるとされる。アングル人はアングロサクソン人の中心的部族である。それに対してWalesの語源は古英語wealas(よそ者)で、ゲルマン系のアングロサクソン人から見た先住のケルト系ブリトン人のことであった。このwealasは「奴隷」という意味にも使われた。Scotlandは意味は「Scotti(スコッティ)の土地」で、ラテン語Scottiは「アイルランド人」という意味であった。スコットランドはアイルランド北部から移住したスコッティたちが建設した王国のことであった。アルフレッド大王(在位871-899)の時代までScotlandはアイルランドを指した。

英国都市

イギリスの都市

 

 

イギリス国旗ユニオンジャック

イギリス国旗ユニオンジャック

イングランド国旗

イングランド国旗

スコットランド国旗

スコットランド国旗

 

ローマ人の残した地名


英国の地名には-chester(-cester、-caster)、 -wich(Wick-、-wick)などの語尾をもつものが多い。-chesterはManchester(マンチェスター)、 Winchester(ウィンチェスター)、そしてChester(チェスター)などに見られ、その変化形-cesterはLeicester(レスター)やWorcester(ウスター)に、-casterはDoncaster(ドンカスター)に見られる。これらはcastle(城)の語源でもあるラテン語castra(城砦)から変化したものである。-chesterの起源は、ローマ帝国がブリテン島を支配し始めたころに6千人規模の正規兵を中心とする軍団(legion)が置かれた城砦であった。その典型がウェールズの北部とイングランドとの国境にあるチェスター(Chester)である。この地には、ウェールズの山地に潜み不穏な動きをするケルト人に、睨みをきかすために5世紀の初まで軍団が配置された。その後イングランドに移住してきたアングロサクソン人は次第にローマ人の城砦を利用して居住するようになった。イングランドの中世都市の多くがこのようなところから発達するのである。 
Sandwich(サンドウィッチ)やWarwick(ウォーリック)の-wichや-wickはラテン語vicus(村、集落)が語源で、このような町はローマ軍の周辺に出来たケルト人の集落が起源である。兵士相手の種々の商人、職人、奴隷たちからなる集落であった。

チェスターの中心街

チェスターの中心街

サンドウィッチの町

サンドウィッチの町

三大ローマ街道

三大ローマ街道


ゲルマン的-ham、-bury( burg、-burgh、-borough )-ton、-by、-thorpe

 

カンタベリー大聖堂

カンタベリー大聖堂

Birmingham(バーミンガム)やBuckingham(バッキンガム)の-hamは、ローマ人が去った後にブリトン人の傭兵としてやって来たアングロサクソン人の集落が起源で、かつてのブリトン人の部族の中心的集落の近くに発達した。Canterbury(カンタベリー)やPeterborough(ピーターバラ)の-buryや-borough(-burg、-burgh)の多くはアングロサクソン時代、特にアルフレッド大王が整備した要塞の周辺に発達した都市である。その多くは1万6千キロにも及ぶ大小のローマ街道の要衝に築かれた要塞を利用したものであった。やがてアングロサクソン人は盛んに農地を開くようになり、その農地を囲いだした。そのような囲われた農地の集落が-tonの起源で、行政単位として認められるようになり、町(town)となるのである 。

ピーターバラ大聖堂

 ピーターバラ大聖堂

ラグビーの発祥の地Rugby(ラグビー)、ダービー競馬で知られるDerby(ダービー)、タラ漁業の基地Grimsby(グリムズビー)のように-byをもつのはバイキングの集落から発達した町で、-byはアングロサクソン人の-tonに相当する。そして-byから分かれて開拓された集落が-thorpeで、いわば「村」である。Thorpe(ソープ)という地名もある。これらの語尾をもつ地名はバイキングの活動の中心であったヨークシャーに特に多い。

ラグビー

ラグビー

 

 

参考文献  『地名で読むヨーロッパ』  梅田 修 著  講談社現代新書

注:この原稿は月刊誌『英語教育』(2005年11月号)に掲載されたものに加筆し、写真を加えたものである。

講師紹介

梅田修

専攻分野

  • 英語学  ヨーロッパ文化

主な研究分野

  • 英語の語源研究
  • ヨーロッパ人名研究
  • ヨーロッパ地名研究

所属学会

  • English Place-Name Society

公的機関での活動

  • 兵庫県高等学校英語弁論大会 審査委員長
  • 検定高校英語教科書の執筆

主な著書

『英語の語源物語』(大修館書店)
『英語の語源事典 -英語の語彙の歴史と文化』(大修館書店)
『世界人名ものがたり -名前でみるヨーロッパ文化』(講談社)
『ヨーロッパ人名語源事典』(大修館書店)
『地名で読むヨーロッパ』(講談社)
『学習者中心の英語教室(カセット)』(大修館書店)

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