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更新日:2010年7月7日
原書にある本書の副題を訳せば「グローバル・ネットワークを通じて共同価値創造を駆動させる」。この題名のなかに、著者たちの主張がこめられている。
第1に、ビジネスの課題が、商品から機能(ないしはソリューション)へ移り、さらに顧客の経験へと移っているという。
例えば、商品がタイヤだとすると、最初はタイヤを販売することが課題だった。しかし、その限界は経営学者のドラッがーやレビットが半世紀前に指摘した。「製品ではなく、製品が果たす機能に着目しなさい」と。つまり、「タイヤ半阿鼻」ではなく、「タイヤを必要とする人の問題解決」こそがビジネスの課題だというわけだ。例えば、車両を管理するマネジャーに、最適なタイヤの管理法(課題解決)を提供すると言うやり方がそれだ。だが、それがさらに個々のトレーラー運転手のタイヤの使い方(経験)へと移るというのが本書の主張である。
つまり、メーカーはタイヤを販売するのではなく、個々の運転手から、タイヤの摩擦に応じてタイヤの使用料を取るというわけだ。
第2は、「グローバル・ネットワークを通じて」である。顧客個々の経験に対応するために必要となる莫大な資源は、自社内調達にこだわるのではなく、他と連携して調達する必要があるというのだ。
ビジネスの主軸が、商品を売り買いして終わるという取引から、個々の顧客との継続的関係性(relationship)に移る。運転手という個々の顧客ごとの事情に合わせて、タイヤの使用状況を絶えず把握し、顧客ごとの事情に合わせて、よりよい使用法を助言することができるようになる。そのためには、ドライバーごとの運転状況を詳しく把握する仕組みの導入がまずもって必要。これが、題名にはないが、本書の第3の主張になる。
使用状況を把握する仕組みがあれば、荷物の容量と重さ、走行のスピード、そしてブレーキの踏み方など、次の新商品開発に役立つ情報が自然に集まる。ドライバーの安全に商店を合わせて、ドライバーの技術向上のための助言が可能になる。それらデータを車両維持コストに連携させて、車両マネジャーへの提案も可能だ。使用経験プロセスを把握する仕組み作りは、次なるビジネスの宝庫にもなる。
個々の顧客の商品経験を把握することが、新しい時代のビジネスの地平を開く。私は共感する。
本自体は長編だが、有賀裕子の翻訳は読みやすい。
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