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流通を科学する -流通科学大学学長 石井淳蔵のページ- > 2009年度 学長方針

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更新日:2010年7月7日

2009年度 学長方針

「それは、学生の成長にとって良いことですか?」
~開かれた大学を目指して~

 
ベルタワーと桜の花流通科学大学は、二〇年前、中内功氏によって創設され、そして発展してきました。今や、「流通を科学する」という氏の創設理念の中で、わが国における流通の教育・研究の府として中心的な役割を果たすと共に、多くの人々にとってかけがえのない場を創り上げてきました。ここに働く私たちや、学ぶ学生ばかりではありません。多くのさまざまなメンバーが、この場を通じて、大いなる成果を受けるに至っています。
それと同時に、忘れてはならないことは、それらの方々によって、この「流通科学大学という場」が支えられているということです。
在学生、卒業生、受験生、そのご家族、卒業生を受け入れてくれる企業、学生を送り込んでくれる各地の高校、われわれの周囲を取り巻く地域社会、研究を支援する専門の学会や研究者、…。
私たちは、そうした関係の網の目のなかで生かされている存在です。それらの関係者の方々の期待に応えずして、存続することはかないません。それらの方々のご支援を受け、それらの方々と良好な関係を築いていくためには、内向きにならず、そうした関係および関係者に向けて開かれた大学でなければなりません。

1)学生との開かれた関係

とりわけ、われわれ教職員にとって、もっとも身近にいるのは、いうまでもなく学生です。本大学の運営予算のほとんどは、ほかでもない、在学生からの授業料で賄われています。その意味からしても、私たちの仕事の第一の本分は、「学生たちの成長を計る」ことでなければなりません。
学生一人ひとり、他の人にはない個性と力をもっています。大学において一層、その個性と力を伸ばし、さらに社会に出て活躍し、社会の多くの方から評価を受けるようになることが、私たち教職員の仕事の一番の喜びとするところです。
そのことが意味しているのは、私たちは、どういう施策を打つにせよ、まず問わなければならないことは、「その施策は、学生の成長にとって良いことか?」でなければなりません。私たちが迷ったとき、最後に答えるべき問いは、この問いでなければなりません。
現在でも、わが校において、他のどの大学に比べても、学生に向いたそうした視点があることはうれしいことですが、あらゆる場面で、つねに、そのことが一番だ、ということを、あらためて意識したいと思います。そして、「学生の成長を力強く支援できる」新しい教育の体系や方法、そして制度づくり、そうした試みに積極的にチャレンジしていきたいと考えます。

 

2)社会との開かれた関係

開かれた大学となるために、第二に、外部とのネットワークの形成が必要です。昨年度の流通科学大学の、いわば「教員MVP」に、お二人の若い先生が選ばれました。多くの教職員の方々が、「優れた仕事をされた」と認められたわけですが、私には、このお二人の先生が受賞されたことは何か大事なことを象徴しているように見えます。
というのは、両先生が評価を受けた点は多々ありましたが、とりわけ評価が高かったのはお二人の先生のゼミに向けた取り組みです。その取り組みにおいて両先生に共通するのは、社会との接点でゼミ活動を行い、その活動成果が競争の場での評価を受けているという点です。
一人の先生は、他大学ならびに諸企業とのコラボレーションの中で、もうお一人の先生は企業と行政との関わりの中で、ゼミを鍛えていかれました。ゼミ生にとって、その課題をこなし、他の大学ゼミとの競争に勝ち残ることはたいへんだったと思います。が、彼らも、それだけに学内のゼミ活動では得ることができない、かけがえのない経験を得たことと思います。そして、先生や仲間への信頼も高くなったと思います。お二人の先生がMVPとして評価を受けたというのは、「こうした外部とのネットワークを通じての教育活動が重要だ」という理解が全学的に共有されたせいではないでしょうか。
社会に開かれた関係。これは、ゼミ活動にとどまるものではありません。授業だけでなく教育全般について、さらには研究においても、外部に開かれた関係の展開を期待したいと思います。そして、大学としても、その展開を積極的に支援していきたいと思います。

最後に、番外で、もう一つ教員の皆さまにお話しさせて頂きたいことがあります。それは、大学教員の使命と誇りについて、です。ここにはいろいろのキャリアをもった先生方がおられますが、多くは、研究するために、この仕事に就かれたと思います。「研究こそが、私たち大学教員の天職、ミッションだ」と、思っている方が大半だと思います。


トレーニングを受けたわけでもなく、どちらかというと拙い教育技術の中において、学生たちに最後の最後、一つ教えるものがあるとすれば、それは、研究に向かう姿勢、つまり「みずから手本となって、『知の地平を切り開いていこうとする』熱意、姿勢」だと、私は思います。

先日、神戸大学のMBAの二〇周年に招かれて、行って参りました。そこでは、何年間か、名ばかりの院長をさせて頂いていたので、挨拶をさせて頂きました。もう、卒業生は、八百人にもなるそうです。多くの方が出席されていました。 式典後の懇親会の席で、流科大卒の現役MBA生に会いました。数年前に卒業された方で、神戸大MBAの学生としては、かなりの若手です。がんばったのでしょう。

私のところにやってきて、彼は、流科大のある先生のことを語ってくれました。 「先生の授業、終わらないんですよ。昼休みの時間になっても、続くんです」と、当時の思い出を語ってくれました。本当に、うれしそうに語ってくれました。その先生の「知」への熱意と姿勢に、心から共感するところがあったのだと思います。

別に、学生たちの多くは学者になるわけではありません。しかし、社会においても、「知の新しい地平を切り開く熱意と姿勢」は、もっとも大事な資質の一つだと、私は、思っています。そして、もし、大学からそうした知に向けた熱意や姿勢がなくなれば、そして、学生たちに向けて、そのことの大事さを教えることがなくなれば、そこには、もはや「大学はない」のではないかと思います。

少子化、大学間の厳しい競争。これから、私たちの大学には、幾多の困難が待ち受けています。十年前とは違い、息つく間もなく、新しい試みにチャレンジして行かざるを得ません。教員の皆さんには、いろいろとこれまでにないストレスがかかって参ります。 その中で、私は、教員の皆さんが、研究に向けた、清新な心と、真摯な姿勢と、そして旺盛な知的好奇心を保ち続けることができるよう、十分な目配りをして参りたいと思っています。

以上で、新年度の挨拶とさせて頂きます。今年度もよろしくお願いいたします。

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