2021大学院案内
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 私は大連にある東北財経大学の出身です。流通科学大学との初の交換留学生として2007年に神戸へ。半年間、研究生として学んだ後、入学試験を受けて流通科学大学大学院(修士課程)に進みました。当時、中国ではまだ「流通」が専門分野として確立していなかったのですが、流通科学大学大学院では流通・マーケティングの分野で影響力のある先生から最新の理論や事例が学べます。留学生に対する面倒見がよく、生活面でも安心でしたので、迷わず進学を決めました。 国ごとに流通システムが違いますので、日本と自国の流通を比較研究する留学生が多くいます。私も「日本ではこう、では中国ではどうか」と考えながら現地調査を行い、理由を考えたり変化を予測したりしました。先生の指導は的確で、目からうろこが落ちるように論点が明確になることがよくありました。大学院で学んで特によかったと思うのは、「商品の開発から消費者の手元に届くまで」のすべての過程を学べたことです。企業では部署ごとに担当が分かれるのでなかなか全体が把握できません。また、大学院での授業は、自分で考えることが多く、知識を応用する力も身につきました。 卒業後、メディア関係の会社で取材活動などを経験した後、最初の起業をしました。2013年頃、「越境EC」というオンライン限定の新しい貿易システムができたことを受け、日本の商品を中国に販売する商社的な事業を行いました。その後、中国側での販売競争が厳しくなり事業を一時休止。このとき、自分でブランドを持つ必要があると強く思いました。そこでものづくりの確かな技術を持つ企業と組んで、新商品を開発。「中国をはじめ世界各地で抜け毛に悩む若者が増えている」という社会現象を踏まえた商品企画、パッケージデザイン、販売方法、定価など、さまざまな戦略を自分で立てました。それが別府温泉の藻類のエキスを使ったシャンプーONSENSOUです。2019年7月に販売をスタートして以来、1年で60万本売れるヒット商品となり、現在は中国、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、ロシアなどへ販路を広げています。 日本では女性の起業を応援するプログラムや、メイドインジャパンの商品を海外で販売する場合の支援などがあり、起業しやすい環境があると思います。大学院で担当してくださった先生と時々会って近況を報告したり、卒業生の集まりで交流したりというつながりも大切にしています。※内容は、2020年度取材時のものです。121.進学を決めた理由2.大学院での学び2010年3月修士課程修了現在:ヴェラス株式会社 CEO(中国)3.起業と商品開発4.日本におけるサポート石 爽さん「流通科学研究科で私が得たもの」商品開発・マーケティング・流通の学びを生かして自社ブランドを開発、グローバル展開しています。

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