『カレーハウスCoCo壱番屋』創業者が語るブレない姿勢

『カレーハウスCoCo壱番屋』創業者が語るブレない姿勢

公開日:2019年10月4日

特別講義

本学では、日本を代表する各業界の企業や官公庁のトップを講師に招き、日常ではなかなか知ることのできないビジネスの本質を直接学ぶ【特別講義】を行っています。

9月24日(火)に行われたのは、『フードビジネス』の特別講義。日本最大のカレーチェーン店『カレーハウスCoCo壱番屋』の創業者・宗次德二氏を講師に迎え、ゼロから東証一部上場企業を育て、一代で日本最大のカレーチェーン店を築き上げるまでに至った経緯や戦略、人として、経営者として、常に大事にしてきたことなど、貴重な体験談をお話しいただきました。

「これこそが自分の天職だ!」と思った瞬間

高校を卒業後、不動産会社の営業マンを経て、24歳で独立した宗次氏は、自宅1階を事務所に不動産仲介業を開始します。26歳のときには、安定のための日銭商売として喫茶店『バッカス』をオープン。それまで、「不動産の仕事こそ天職だ」と思っていた宗次氏ですが、喫茶店の店頭に立った瞬間、「これこそが自分の天職だ!」と思ったそう。軌道に乗っていた不動産仲介業をすぐさま廃業すると、1978年、29歳のときにバッカスで評判だったカレーを提供する専門店『カレーハウスCoCo壱番屋』(以降ココイチ)1号店を名古屋市郊外に開店されました。
『安売りのサービスより、真心のサービスを』。喫茶店・バッカスをオープンする際に打ち立てたこの方針を、2002年に53歳の若さで後継者に事業継承・経営を引退されるまで、宗次氏は徹底的に体現し続けられました。

一度も揺らぐことのなかった『真心のサービス』への信念

特別講義

『安いから』が来店の理由になるのは絶対にイヤだから、ココイチでは今まで一度も値下げをしたことはない、と話す宗次氏。「おいしい・おいしくないは個人差があるもの。全員に”おいしい”と思ってもらうことは不可能」だからこそ、何より大事にしてきたのが『真心のサービス』だそうです。「ココイチでは、『QSC』の”Q”(品質)よりも”S”(サービス=人間による付加価値のおもてなし)を最優先にしています」と言い切るほど。

フードビジネスに足を踏み入れた40年以上前の方針が『カレーハウスCoCo壱番屋』の原点であり、今なおその成功を支えているのです。「経営は“駅伝”。次へ次へ繋いでいくものです」と話されるように、当時から周りに何を言われても一度も揺らぐことのなかった宗次氏の信念は、今も変わらず受け継がれ続けています。

経営者として『成功する人・しない人』の違い

講義のなかで、宗次氏が何度も口にされていたのが『積み重ねること』の大事さ。成功する人とそうじゃない人の違いは能力ではなく『続ける習慣』。誰もが簡単にできることではないからこそ、価値があるものだ、と。自身も若いころ、「必要に迫られて『早起き』をするようになったのですが、気づいたら習慣になっていて、そのときにこんな価値のあることはない、と感じた」と言います。

『続ける』ということは、簡単そうで難しいこと。だからこそ、何かひとつでもいいから習慣になるまで続けていくことで、結果として他の人がなかなかできない価値あるもの、を手にすることができるのだと思います。

人生は、”目標”と”積み重ね”と”姿勢”で変わる

また、「なんでもいいから一番になること」の大事さも、学生たちに伝えられました。『オンリーワンがナンバーワン』。そのためには『目標』を持つこと。それをひとつずつ達成していくなかで『夢』は叶っていくものだ、と。
「日々の課題が克服できなくて夢は叶わない。少しずつの積み上げ、小さな蓄積で人生は変わっていきます。自分でできる努力を続けていくことが大切」と、力強く語られました。

柔らかな物腰と、ときに冗談を交えながら穏やかに話す姿からは想像できないような、壮絶な幼少期を送られてきた宗次氏。講義の最後には、学生たちにこんなメッセージを贈られました。
「チャンスは人が与えてくれるものではなく、自分で切り拓いていくもの。夢を『見る』だけではなく、自ら汗をかかなければいけません。20代の今からそういう姿勢で生きられたら幸せだと思います。長い人生においては”姿勢”が大事。姿勢よく生きていくことで素晴らしい人生になります」

特別講義

特別講義

現在は『寄付=究極の贅沢』で若い世代を支援

経営引退の翌年にNPO法人を設立した宗次氏は、2007年には私財28億円を投じ、名古屋市内にクラシック音楽専門の『宗次ホール』を開館されました。現在は、夢と目標を持って頑張る人たちへさまざまな支援を行うとともに、高校・大学等の音楽ホール建設・改修への寄付、小中高の音楽部・吹奏楽部などへの楽器類の贈呈、買い取ったストラディバリウスなどの名器を音楽家へ無償貸与するなど、次代を担う若い世代を応援する活動をされています。
「お金を人に使ってもらうのは究極の贅沢」と笑う宗次氏は、経営からは引退したものの、経営者時代と変わらぬ精神で社会へ貢献し続けられています。

PROFILE

カレーハウスCoCo壱番屋創業者
宗次 德二

1948年石川県生まれ。高校卒業後、不動産業を経て、1974年に喫茶店『バッカス』を開業。1978年に『カレーハウスCoCo壱番屋』を創業。1982年に株式会社壱番屋を設立し、代表取締役社長に就任、1998年には同社代表取締役会長に。2002年に経営から退いた後、2003年にNPO法人イエロー・エンジェルを設立。2007年にはクラシック音楽専用の『宗次ホール』を名古屋市内にオープンした。現在は、クラシック音楽普及、奨学金支援、助け合い推進活動に従事

カレーハウスCoCo壱番屋

NPO法人イエロー・エンジェル

資料請求

デジタルブック

ネット出願

ページトップ