「商業」を考えることは、「まち」を考えること。第25回「神戸のまちの魅力を考える会」

「商業」を考えることは、「まち」を考えること。第25回「神戸のまちの魅力を考える会」

公開日:2026年9月24日

第25回「神戸のまちの魅力を考える会」の会場の様子

9月8日(火)、第25回「神戸のまちの魅力を考える会」が、こうべまちづくり会館で開催され、27人が参加しました。

本学教員の有志が世話人となり、それぞれの専門分野をテーマに勉強会と交流会を企画・運営する本会。今回は「地域に根ざす地域商業の未来」をテーマに、地域商業の現場、神戸市の商業政策、大学・研究者という3つの立場から、これからの地域商業と神戸のまちのあり方について考えました。

人口減少や高齢化、消費行動の変化、インターネット通販の普及など、商店街や小売市場を取り巻く環境は変化しています。だからこそ今回の議論では、商店街や市場を単に「商品を買う場所」として捉えるのではなく、人が集まり、出会い、地域の魅力を体験できる場として捉え直す視点が示されました。

「買う」だけじゃない。市場から生まれる、人と人とのつながり

神戸市小売市場連合会会長で、大安亭市場協同組合理事長の井上善照氏は、大安亭市場を「買い物をする場所」から、「食べる・出会う・体験する」楽しさのある場所へと変えていく取り組みを紹介。月1回開催しているバーベキュー祭りや「いちば横丁」では、新たな来街者と既存店舗をつなぎ、何度も訪れたくなる市場を目指しています。

また、若い商業者が市場から商品を仕入れ、店主から商売の知恵を学ぶ関係づくりや、子どもから高齢者までが参加できる「市場でのラジオ体操」の構想なども紹介。市場を、日々の買い物だけでなく、地域の人々が自然に集い、交流する拠点として捉え直す取り組みです。

さらに、大安亭市場のバーベキュー祭りに毎回出店しているスタンドらんらんの南端宏亮氏からも、小売市場が持つ可能性についてお話しいただきました。
「何を売るか」だけではなく、「人がなぜそこへ行きたくなるのか」。
地域商業の価値を、商品そのものから人とのつながりや体験へと広げて考える視点が示されました。

行政・商業者・大学。それぞれの視点から考える「まちの価値」

続いて、神戸市経済観光局の五島武史部長からは、商店街・小売市場を「消費の場」であると同時に、地域コミュニティの核であり、都市の重要な機能の一つとして捉える考え方が示されました。

第25回「神戸のまちの魅力を考える会」で地域商業について議論する登壇者

空き店舗や事業承継を課題として挙げる一方、スタンプラリーや鉄道会社の謎解きゲームなどを活用し、これまで市場に縁のなかった人たちが訪れるきっかけをつくることの重要性も紹介。また、店主にとっては当たり前の技術や商品が、消費者にとっては大きな魅力になる可能性にも言及。自分たちが持つ価値を改めて見つめ直し、発信していくことや、ChatGPTなどの生成AIを発想や技術継承に活用する可能性についても紹介されました。

地域商業を取り巻く課題は、一つの立場だけで解決できるものではありません。

だからこそ、商業者、行政、大学・研究者など、それぞれ異なる立場から地域商業を見つめることで、「まちの価値とは何か」という問いが浮かび上がりました。

商店街を「面」で捉え直し、神戸のまちの未来を考える

最後に、商学部の長坂泰之教授から、台湾の市場・商店街の事例を交えながら、地域商業における魅力づくりと役割の変化について報告しました。

そのなかで示されたのが、商店街や小売市場の再生を「線」ではなく「面=エリア」で考えるという視点です。商業者だけでなく、地域住民や行政、企業、大学など、多様な人が関わりを持ちながらエリア全体の価値を高めていく「エリアマネジメント」の考え方を紹介。アーケードについても、単に「屋根を維持するか、撤去するか」という問題ではなく、将来の商店街をどのように経営していくのか、という視点から考える必要性を提起しました。

今回の議論を通して見えてきたのは、商店街や小売市場を「商品を販売する場所」だけで捉えないということ。地域の日常文化に触れ、人と人が出会い、新しい商いや交流が生まれる。そんな場所があることも、まちの魅力の一つです。

「商業」を考えることは、「まち」を考えること。

地域商業の未来を考えることを通して、商業エリアを含む神戸のまち全体の価値をどのように高めていくのか。第25回を迎えた「神戸のまちの魅力を考える会」は、参加者それぞれが神戸のまちのこれからを考える機会となりました。

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