本学学生が「神戸の魅力」を映像で発信 新長田の活性化を

本学学生が「神戸の魅力」を映像で発信 新長田の活性化を

公開日:2011年2月9日

KOBEムービーチャンネル

KOBEムービーチャンネル

昨年(2010年)夏、神戸市が募集した「学生の企画による『神戸の魅力』発信映像作品」に本学の二木泰光さん(商学部3年)を中心とした学生が応募、選考を経て見事採用された企画による映像作品が神戸市の「KOBEムービーチャンネル」で公開されました。

作品「聞くは一時の恥 かかせていただきます!」は、一丸となって震災を乗り越え、全国に元気を発信してきた新長田のまちを紹介。二木さん、樋口洋子さん(情報学部3年)、竹内裕也さん(商学部3年)の大学生3人組が新長田のまちの人たちから叱られながらも、人々のあたたかさにふれ、まちの力強さや魅力に気づいていくというストーリーです。

それは学園祭から始まった

ARキャンパスツアー

実はこの応募に至るまで、二木さんたちの活動には一昨年から始まる歴史がありました。

2009年秋、流通科学研究所の福井誠先生(当時 現情報学部教授)とソフトバンクモバイル株式会社の提携による「ARキャンパスツアー」が学園祭会場で実施されました。

このツアーは「AR(拡張現実)」と呼ばれる技術をiPhoneで利用し、たとえば目の前の模擬店にiPhoneをかざすとディスプレイに出店者の情報や口コミが表示されるなど、最新技術を生活の中に取り入れ、自由に使いこなす取り組みでした。

二木さんはこのツアーを企画する有志のグループに2年生として参加、当時学内広報誌「RYUKA-STYLE」の記者をしていた経験を活かして、情報集めに奔走しました。

神戸ハーバーランドの活性化

学園祭終了後、学内の情報提示にとどまらず、範囲を商店街や街などさらに大きく広げて取り組みを活かそうとしていたチームが次に挑戦したのは「神戸ハーバーランドの活性化」。

神戸ハーバーランドは神戸を代表する観光スポットで、国内はもとより国外からも中国・韓国を中心に多数の観光客が来訪、しかし一方で相次ぐ大型商業施設の撤退やホテルニューオータニ神戸ハーバーランドの閉鎖など商業面で苦戦を強いられていました。

二木さんたち有志の学生チームは、ソフトバンクモバイル株式会社、神戸ハーバーランド株式会社と連携して、iPhoneのソフトウェア「ふらっと案内」を活用した地域活性化社会実験を昨年4月1日から開始しました。
これは高精度なiPhoneのGPS機能による位置情報を利用し、“今いるその場で便利になる情報”を提供する試み。付近のイベント情報の発信や観光スポットへのナビゲーション、ショップのタイムセール情報のほか、街の魅力を満喫できる散策コースを動画や写真で紹介し、観光客に新たなハーバーランドの魅力を発信しようというもので、現在も続けられています。

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そしていよいよ舞台は新長田へ。

震災で甚大な被害を受けた新長田のまちは、「KOBE鉄人プロジェクト」によるまちおこし活動で最近話題ですが、商店街にはシャッターが目立ち、まだまだにぎわいを取り戻すことはできていません。
そこで二木さんたちは「ふらっと案内」を利用して、現在の商店にiPhoneをかざすと震災直後の同じ場所の画像が表示されたり、多言語でまちの紹介データが表示されるなど、ARを利用して新長田のまち全体を歴史や阪神・淡路大震災の「資料館」にしようと計画中なのです。

そのために取材を続けるうちに、二木さんたちはいろいろな人に出会います。
KOBE鉄人プロジェクトの理事長・正岡さんからは震災復興を支えた新長田の人々の存在と今の街を築いた歴史を教えていただきました。
他にも写真をたくさん提供してくださった東さん、長田と粉もんをこよなく愛する森崎さんなど、一見普通の「関西のおっちゃん」、でも実はふか~い哲学を内に秘めた方たちとの出会いがあり。
「なんや、そんなことも知らんっかったんか!?」と、いっぱい怒られました。呆れられました。
でも二木さんたちはそのたびに先生方からも助言を受けて「なにがあかんかったんかな?」と考えました。そして自分たちの足りなかった部分に気づき、それを乗り越えて企画の実現に向けて進んでいきます。

新長田

新長田

新長田

「鉄人の像自体の重さは50t、でも土台はその3倍の150tの重さがあるんやで。きみらは今、人間としてその土台の部分をつくっとるんや。今がんばらんで、苦労せんでどうする!」

「社会ではな『筋を通す』ってことが大切や。そのためには自分がやりたいこと、自分の気持ちをきっちり伝える努力をせなあかん」

「きみらはもう新長田の一員やで」

さりげなく語られたいろいろな言葉、そのひとつひとつが二木さんたちの心の中で輝き続けます。
ひとが好きになるとまちも好きになる、これもある人の言葉です。二木さんたちは出会う人たちを好きになり、新長田のまちが大好きになっている自分に気づきました。

かならずきじゅつ

取り組みを紹介することも新長田の活性化につながると信じて、二木さんたちはいろいろな場所で自分たちの活動を発表していきます。

経済産業省が主催する「社会人基礎力育成グランプリ2011」では近畿地区大会で準優秀賞に選ばれ、また兵庫県の「人と防災未来センター」の企画展「戦後神戸の歩みと阪神・淡路大震災」では「スマートフォンiPhoneによる新長田の地域情報発信」として取り組みを紹介したパネルが展示されています。(展示は2011年2月13日まで)

その一環として応募した今回の神戸市の映像企画は、2010年の夏に応募、秋から冬にかけて制作会社の人と共同で番組を制作し、ようやく2011年1月29日(土)にネットでの公開、サンテレビでのダイジェスト版放映が実現しました。 (「好き!神戸」1月29日放送。2月16日10:00にも放送予定)

二木さん

最後に二木さんが語ってくれました。

-大学の外で現実・社会に触れて、厳しさに直面しました。人と触れ合って、いろいろなことを教えてもらい、人と、社会との付き合い方や、粘り強く取り組むことの大切さを実感しました。そして自分を知らない人に自分の気持ち・考えを伝えていくことの大切さ、そのためにはしっかりと準備をしなくてはならないことなど、今まで「とりあえず」という言葉に逃げていた自分を根底から覆されたようでした。

-今後は活動を続け「長田版ふらっと案内」の完成を目指します。「人と防災未来センター」と共同で制作するというお話もあり、「新長田のまちを資料館に」を早く現実のものにしたいです。

-春から僕たちは4年生、就職活動に追われることになります。
 学生の活動の弱点は数年で人が入れ替わってしまうことだと思いますが、今の1年生とずっと一緒に活動してきたので、スムーズに主力を引き継げるよう、「僕たちが卒業したら終わり」にならないよう、次の世代の学生に伝えていこうと思っています。

いろいろなフィールドでさまざまな“学び”を体験できる「実学の流科」。
地域とつながり社会に貢献する大学をめざして、多様な「社会連携プログラム」が進行しています。
二木さんのように、あなたも、自分で自分の活躍のフィールドを見つけてみませんか。

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