インバウンドを主軸に『世界企業』へ! その根底にある”想い”とは‥
公開日:2019年10月30日
本学では毎週、日本を代表する各業界の企業や官公庁のトップを講師に招き、【特別講義】を行っています。10月9日(月)の【企業論特別講義(サービス業)】では、同窓の先輩であり、34歳にして年商50億円を誇る、株式会社フリープラスの代表取締役社長・須田健太郎氏を講師にお招きしました。今注目の起業家が語る『起業』『ビジネス』『生き方』とは?
昨今の訪日外国人旅行者増加に大きく寄与
『株式会社フリープラス』は、現在、スタッフ約300名(そのうち正社員約100名)、正社員の45%が外国人(14カ国)というグローバルな環境で、『訪日旅行事業』『宿泊事業』『観光立国推進事業』を展開しています。
2010年、日本のGDPが中国に追い抜かれるというニュースに衝撃を受け、『日本を元気にできること』として訪日旅行事業に参入。以来、外国人観光客に特化した『ランドオペレーター』ビジネスで成長を遂げ、これまでの取引実績は、40カ国(アジア全域・ヨーロッパ・オーストラリア・アメリカ)・1000社。昨今の訪日外国人旅行者増加には、須田氏の功績が大きく寄与しています。また、同年、外国人観光客向けの宿泊観光特化型ホテル『FP HOTELS』の運営もスタート。周囲から「うまくいくわけない」と言われながらも、大阪・新今宮に2017年にオープンした1棟目のホテルが大成功。現在、4棟目のホテルを建設中です。さらに近年は、外国人観光客誘致を考える自治体に社員を派遣し、インバウンドを増やすサポートを行うなど地方創生事業にも取り組んでいます。
この社会に、自分が生きた証を遺したい!
流科大入学当初は、やりたいことも夢もなかった須田氏。自分の未来を「好きな授業に出て、15歳から続けていた大好きなマクドナルドのアルバイトでお金を稼ぎ、高校時代から続けている陸上競技部で運動して、ずっとそんなゆるい感じで生きていきたい」と考えていたと笑います。その背景には、通学中の電車でゾンビみたいなサラリーマンの姿を見て抱いた想い、がありました。「大人っておもしろくなさそうだな。社会に出るということは相当つまらないんだろうな」と。
そんな須田氏に転機が訪れます。「もともと、人と関わることが苦手。一人で自分と対話しているのが好きだったから、同窓会に呼ばれたことがなかった。でも、成人式のときにはじめて呼ばれて参加したら、想像以上に楽しかったんです」。その夜、眠りにつきながら「こんな楽しい日は、次いつあるのかな」と思っているうちに、その思考は「人はいずれ死んでしまうのに、なぜ生きる必要があるのか」という死生観に及んでいったそう。「生きることに意味はない、と。でも、せめて、その日がくるまでに世界にインパクトを与えられるくらいでっかいことをしたい、と思いました」。
自分が死んでも幸せな人を生み出し続ける『世界企業』を
そんなある日、「偶然テレビで見た堀江貴文氏と三木谷浩史氏の姿が、自分のなかの『社長』のイメージと全然違っていてすごく興味を持った」という須田氏。その後、ビジネス誌や社長の書籍を読み漁り、勇気さえあれば誰でも会社がつくれることを確信。『人々を幸せにするようなサービスを提供する世界企業をつくる』ことを決意します。
「そうすれば、自分が死んでも会社が幸せな人を生み出し続けることができる。そしたら、生きた意味がある」と。
その後は、マクドナルドでのアルバイトを辞め、『営業力』を身につけるためにNTTのインターネット回線を販売するインターンシップに参加。卒業まで約1年と迫った2005年12月には『会社をつくる』という夢を見つけたため大学を自主退学し、新卒採用をしていないITエンジニア派遣のベンチャー企業に頼み込んで就職。1年後、300万円の貯金を手に退職し、22歳で株式会社フリープラスを設立。「世界にインパクトを与えるくらいでっかいことをする」と決めてから、わずか2年5か月後のことでした。
”選択”と“信念”が成功を生む
目標を達成するために“今”すべきことを考え、すべてを夢の実現のために変えてきた須田氏は言います。「目標があるなら、日々の生活を見直した方がいい」。その選択は、本当に自分の目標につながる意思決定なのか。目標に対して、その意思決定は効果的なのか。それを考えた方がいい、と。「短期的な欲求はもちろんあるけど、自分の気持ちを裏切ってまで夢の実現のことを考えて突き進んできました。夢は必ず叶う、というのは本当。僕の人生がそれを証明している」。とはいえ、「最初からうまくいくと思ったら大間違い」と厳しい言葉も忘れません。最初から楽な道なんてない、と。「僕自身、未経験でホテル事業に参入したとき、誰も手を出さない、絶対失敗すると言うような場所でやらざるを得なかった。でも、それをチャンスととらえ、勇気を出してスタートし、成功させられるかどうか。それくらい努力できる。何があっても信念を持ってやり続けられる。物事をいい風に動かしていけるのは、そういう人です」。
自分の人生の幸せは自分で決めることが大切
講義の一番最初に須田氏が学生たちに伝えたのは「講義が終わったとき、どんな成果を手にしていれば満足かを書き出す」こと。それにより、今日の講義の『ゴール』が設定され、得るものが違ってくる、と。「これは人生全体に言えること。ほとんどの人が人生つまらなさそうで、それをみんな人のせいにする。会社がダメだから、上司がダメだから、社会が悪いから、と。でも、自分の人生の”幸せ”は自分で決めるものです」。最後の質疑応答時にもこの話をしながら、『今日得たい成果』が得られるような質問、を学生たちに促していました。
比較的年齢の近い同窓の先輩である須田氏の存在とお話は、いつも以上に学生たちにとって身近に感じられるものだったようで、講義終了間際までたくさんの質問が飛び交いました。
須田氏へのQ&A
Q:起業するうえで大切なことは?
A:信念を持つこと。成功するのは、自分の全財産、全人生を捨ててでもそれをやりたいという人、そしてそれを続けられる人。
Q:起業当時のモチベーションは?
A:「世界企業をつくりたい」という夢。人間は、自分の欲求に従ってしか動けません。
Q:人脈の作り方は?
A:人脈は、自分の人生のステージが上がれば勝手にできる。今日、僕たちはここで知り合ったけど、これは人脈じゃない。人間にはいろんなステージがあって、本当の人脈は同じステージに入った瞬間、自然とつながっていくもの。
Q:起業すると営業はすごく大事だと思うけど、営業のコツは?
A:『その分野のプロであること』と『お客さまの話を聞くこと』。営業とは、お客さまを安心させること。売ろうとしたら絶対売れません。
Q:就活する人たちへアドバイスをお願いします
A:見栄を張らないこと。友だちに自慢できたり、親が安心してくれるからと、誰もが知っているような会社に入りたがる人が多いけど、みなさんの人生は自分自身のためにあるもの。他人の評価など気にせず、自分の気持ちに正直にやりたいことをやることが一番大事。
『企業・官公庁のトップが先生に』
日本を代表する企業や官公庁のトップを講師に招き、さまざまな業界・企業の歩みや国際比較、
現状分析、企業間競争の実態、さらには新商品が世に出るまでの裏話など、
日常ではなかなか知ることができないビジネスの本質を学びます。