2大学合同プロジェクト! 前川ゼミがセキスイ畳『MIGUSA』の新製品開発に挑戦
公開日:2025年9月5日

働くための能力を大学生活でどのように身につけ伸ばしていくか”を、実践と経験から考察する人間社会学部人間健康学科・前川明准教授のゼミ。
2025年度は、積水成型工業株式会社との共創プログラムに取り組みます。これは、本学卒業生である谷川雄亮氏(2002年卒業/同社・機能成型品事業部事業企画担当部長)からの連携依頼によってスタートしたもの。また今回は、武庫川女子大学経営学部経営学科・井口徹郎教授のゼミとの合同プロジェクト。お互いに良い影響を与え合いながら、セキスイ独自の畳表『MIGUSA』の素材を使用した新商品・新サービスを考えていきます。
2月20日(木) キックオフミーティング

前川ゼミに所属する学生9名と武庫川女子大学・井口ゼミの学生15名は、2月20日(木)に大阪市内の本社を訪問。キックオフミーティングを行いました。
冒頭、谷川氏より本プロジェクトおよび課題について説明。今回、ゼミ生たちは学生ならではの視点で『「MIGUSA」の素材を使用した製品・サービスの開発』に取り組みます。学生たちに「柔軟な発想で自由に新製品・新サービスを生み出してもらいたい」と伝えた谷川氏。中間発表までの目安としては「テーマ内容に関して5W1Hで組み立てをお願いしたい」と話しました。

続いては、社内にあるショールームへ。展示されている『MIGUSA』を使ったさまざまな製品を見て回りました。興味深そうに触ってみたり、谷川氏やこの日同席されていた同社社員の方々に積極的に質問をしたり。社員の方々の丁寧な説明に、みな熱心に耳を傾けていました。


見学後は、2大学の学生をシャッフルしてグループ分け。各グループで、自己紹介とカードを使ったアイスブレイク、グループワークを行いました。見学を経て、新たにどういった製品が作れそうか、またどういう製品やサービスがあるとおもしろいか。各々が考えたアイデアを出し合いました。その後、各グループごとに出たアイデアを発表。限られた時間だったにも関わらず、予想以上にたくさんのアイデアが出たことに、同社の皆さんも驚かれていました。


そして最後に、中間発表までに期待することを学生たちに伝えた谷川氏。「この数十分でこれだけのアイデアが出るとは思わなかったので、次の中間発表でも柔軟な発想かつより実現性の高い企画を楽しみにしています」と話しました。
ここからは、各大学のゼミで企画を検討していき、6月21日(土)に中間発表を行います。
6月21日(土) 中間発表
2月のキックオフミーティング以来4カ月ぶりとなる6月21日(土)。
谷川氏を含む3名の方が同席するなか、積水成型工業株式会社本社にて中間発表を実施しました。
この数カ月間、セキスイ独自の畳表『MIGUSA』の素材を使用した新商品・新サービスについて試行錯誤を繰り返してきた両ゼミの学生たち。前川ゼミ11名は3グループに、井口ゼミ15名は4グループに分かれて、それぞれの提案内容について発表を行いました。
徹底的に調査・分析。渾身の提案発表
『MIGUSA』の耐久性や耐水性、防汚性、抗菌性といった素材としての特性に加え、カラーバリエーションの多彩さを最大限生かした商品を考案した前川ゼミの3チーム。
各グループともに、市場分析、需要動向調査、競合他社の分析から、売上販売目標、販売シュミレーション、マーケティング戦略、プロモーション、今後の課題などについて説明を行いました。
なかには、BtoB およびBtoCのターゲティング・戦略、B2B2Cに対する商品の売り方などに言及したグループも。各グループ、渾身の提案発表となりました。
高い評価の一方で、厳しい指摘も
各グループ発表終了後に設けられた質疑応答では、調査・分析データを踏まえたゼミ生たちの発表を高く評価された同社の方々。
一方で、詰めの甘さや実現に向けた課題を指摘される場面も。そのうえで、現状の問題点を解消していくためのアドバイスやアイデアもいただきました。
2大学合同プロジェクトならではの相乗効果を
キックオフミーティング時、谷川氏からかけられた「柔軟な発想で自由に新製品・新サービスを生み出してもらいたい」という言葉。その言葉に応えるように、両ゼミの個性が表れた中間発表となりました。
2大学合同での取り組みということもあり、この場で初めて聞いた互いのゼミの発表は、大きな刺激となり、自分たちの提案に生かせる学びにもつながったようです。
より実現性の高い提案で、8月の最終発表へ
最後に、「この短い時間で、各グループとも思った以上にまとめてきてくれていて驚いた。最終発表まであと2カ月近くあるので、今日伝えさせていただいたことを踏まえて、より実現性の高いアイデアを考えてもらえたら」と、ゼミ生たちに伝えた谷川氏。
その言葉通り、いただいた意見やアドバイスを生かし、両ゼミともここからさらに提案内容をブラッシュアップ。8月5日(火)の最終発表に臨みます。
8月5日(火) 最終発表
6月の中間発表以降、いただいた指摘やアドバイスを踏まえて商品企画のブラッシュアップに励んできたゼミ生たち。そうして完成させた渾身の企画を携え、8月5日(火)に行われた最終発表に臨みました。
緊張は最高潮に。経営のトップを前に最終提案
この日は、同社代表取締役の廣野裕治氏など上層部の方々も同席。いつもとは少し違う雰囲気に、両大学の学生たちの表情には一気に緊張の色が。発表順はクジで決定するため、いつ自分たちのチームが呼ばれるかわからない状況に、より緊張感が高まっているようでした。
「着眼点が素晴らしい」と高い評価に自信も
中間発表での指摘をしっかり解決し、データや他社との比較なども組み入れ、より実現性の高い提案に昇華させてきた前川ゼミの3チーム。廣野氏からは「着眼点が素晴らしい」「市場調査もいろいろしてもらってわかりやすかった」「参考にさせてもらいたい」と高い評価をいただきました。


また、この日初めてゼミ生たちの発表を聞いた開発・知財部長の吉田氏からはさまざまな質問も出ましたが、その一つひとつに的確に対応。中間発表に同席されていた3名の方からも「中間からさらにレベルアップした提案になっていて驚いた」とのコメントをいただきました。
数ヶ月間の貴重な経験よる成長を体現
同社の方々も驚く素晴らしい企画が出揃った今回の最終発表。
両大学全7チームの発表終了後には、同社の方々による審査を経て、各大学の1位と総合1位が発表されました。
順位の決定に際し、「甲乙つけ難かった」とコメントした同社の方。学生ならではの『柔軟な発想』からの提案の数々を、「自分たちでは思いつかない素晴らしい提案ばかりだった」と評価されました。
残念ながら、総合1位は逃しましたが、この日の最終発表で経営陣を前に堂々とプレゼンを行い、質疑応答にも落ち着いて的確に対応していた前川ゼミの学生たち。その姿はとても頼もしく、この数ヶ月間の取り組みによる11名それぞれの成長を表しているようでした。

実際に販売する新たな製品企画を考える、という貴重な経験を通して、各々気づいたことや学んだことがたくさんあった様子。そのすべてが、間もなくはじまる就職活動に、また社会に出てからも、生かすことのできる大きな財産となりました。