山川ゼミが香川県の観光事業者らと連携!
新しい価値交換の仕組みによる観光モデルの確立に向けて
公開日:2025年10月28日

人間社会学部観光学科・山川拓也准教授のゼミでは、『観光商品・旅行業ビジネス・地域創生×マーケティング』をテーマに活動。
外部団体主催の『海外旅行商品企画コンテスト』や、観光・地域創生に関わる企業・団体との社会共創コラボレーションなど、年間を通じて複数同時並行でさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
5月12日(月) 事業者に向けたオンラインプレゼン
普通の観光ツアーや滞在では得られない価値とつながりを
今年度も、複数のプロジェクトが稼働しており、そのひとつに香川県・琴平町に本社を置く琴平バス株式会社(コトバス)との『コトヒラコネクト(コトコト)プロジェクト』があります。
琴平の町の人々と参加者の関係を鍋料理のように例え、「関係を煮詰めていってほしい」との思いから命名された本プロジェクト。
参加者が琴平町に滞在しながら数日間働き、対価として現地での経験や地元の人たちとの交流やつながりなどを得る―『仕事の対価=賃金』としない価値交換の仕組みをもとに展開する、新たな地域観光へのアプローチとなっています。
普通のツアーのように、ただ観光客で終わるのではなく、琴平町の魅力を深く知り、ファンやリピーター、さらには関係人口を創出することを目的としています。
事業者に向けたプレゼンで発見された課題
5月12日(月)には、参加者が働く場の候補となる事業者に向けたプレゼンをオンラインにて実施。プロジェクトの概要や、“旅マエ” “旅ナカ” “旅アト”の取り組みについて説明しました。そのなかで、事前説明や参加者の火付けとなる“旅マエ”のアクションが不足していることを発見。その点を再度見直し、ゼミ生たちは改めて参加者が働く場の提供協力に向けた交渉を行いました。


6月7日(土)・8日(日) 現地の事業者を訪問
“琴平でやる意義”を基準に決定した3社の仕事場を見学
ゼミ生たちは、6月7日(土)・8日(日)に琴平町へ。
5つの事業者を訪問し、プロジェクトの参加者に対してどのような経験や価値を提供することができるか、すり合わせを行いました。
そして、琴平でやる意義である『琴平らしさ』『人と人との親密な人間関係、距離の近さ』を基準に3社に絞り込むと、2週間後の21日(土)・22日(日)にはその3社を再度訪問。実際に仕事場を見学し、仕事内容に触れるとともに、働く人々の生の声を聞きました。
過去の悔しさを胸に。9月の開催に向けて情報発信を強化中!
今回のプロジェクトについて『課題は集客』と話したゼミ生。以前にも同様の企画を考えていたものの、集客に苦戦し、開催を断念した経験が。そのときの悔しさがあるため、「次こそは!」という強い思いを胸に、プロジェクトの周知と応募に向けた取り組みを強化中。9月中旬の現地での開催に向け、プロジェクト内容や琴平町に関する情報発信などに、積極的に取り組んでいます。
9月10日(水)~16日(火) 3拠点にて開催

5月に、参加者が活動する場の候補となる事業者へのプレゼンを行ってから4カ月。9月10日(水)~16日(火)の1週間、現地の3拠点にて第1回となる『コトコトプロジェクト』を開催しました。
1週間滞在型“体験”プロジェクトで関係人口創出へ
古くから信仰と観光の町として栄えてきた香川県琴平町。時代の流れとともに観光客が減少するなか、自らの手で町を元気にしようと奮闘する地域の人々の想いに感銘を受けて生まれたのが、このプロジェクトです。
大学生が琴平に1週間滞在し、琴平町にある地域に根差した事業所で実施。『お金』の代わりに『経験』『体験』『学び』を得ながら、『短期間の地域とのつながりの形成を超えた“持続的関係”の種を蒔くこと』を目的としており、移動費・宿泊費を含めて参加費は無料です。
過去の悔しさを生かし、念願の初開催
以前にも、同様の企画を考えた山川ゼミ。しかし、集客で苦戦し開催を断念した過去が。その反省を生かし、他ゼミを訪問してプロジェクトのプレゼンをしたり、ゼミのInstagramアカウントで宣伝、地道な声がけでの宣伝を行ったことが功を奏し、今回は4名が参加(申込は6名。2名キャンセル)し、無事開催することができました。
琴平町にある3拠点で地域の生業を体験!

今回、参加者が労働体験をしたのは、いずれも琴平町にある3拠点。
空き家や空き店舗をリノベーションし、町全体をひとつのホテルに見立て地域内の周遊率を向上させる取り組みを行っている複合型施設『KOTO VEGAS』でのさまざまな業務。300年続く老舗の温泉旅館であり6つの趣異なる貸切風呂が楽しめる温泉宿『こんぴら温泉湯元八千代/こんびら温泉貸切湯の宿ことね』で料理の配膳・清掃業務。そして、讃岐うどん作り体験施設『中野うどん学校 琴平校』ではうどん作り体験のアシスタントを行いました。
初開催の先に芽生えた今後の目標
今回、本学の学生も参加者として参加。そのなかには、このプロジェクトを通して単発で終わらない継続的な活動に魅力を感じ、山川ゼミに入ることを決めた学生も。これまでは3・4年生のゼミ生わずか3名で本プロジェクトを進めてきたため、募集定員にも限界がありました。もし、今後ゼミ生が増えれば、定員を増やすことも可能になるため、「もっとスケールアップしていきたい」「体験できる拠点を増やしていきたい」「コミュニティの輪を広げていきたい」と、ゼミ生たち。
改めて感じた“旅マエ”への課題解決に向けて
一方、事前説明や参加者の火付けとなる“旅マエ”に課題も感じている様子。ゼミ生からは、「参加者の不安の解消やモチベーションづくりを頑張りたい」「メンターであるゼミ生、地域の方々、プロジェクトの参加者の三者が、輪になって協働しながらプロジェクトを進めていけるような関係を築いていきたい」といった声も聞かれました。
学園祭での模擬店出店&来春の開催に向け準備中!
山川ゼミでは、本プロジェクトの紹介のため、11月のりゅうか祭で『讃岐うどん』の模擬店の出店を計画。今回のプロジェクト参加者に、『旅アト』の活動として現地での生業体験を行った拠点のPRポスターを作成してもらい展示する予定です。
また、来年の春休み期間に、よりスケールアップした『コトコトプロジェクト』の開催を目指し計画中。ぜひ、多くの学生に参加してほしいと思います。


ゼミ生の感想
- これまでは同年代の学生ばかりと関わってきましたが、プロジェクトを通して、企業の社長やキーパーソンの方々と交流することができ、貴重な経験を積むことができました。
- このプロジェクトは、お互いの信頼関係で成り立っているもの。自分たちが卒業した後も、後輩たちに引き継いでいってほしいです。











