長坂ゼミが4回目の挑戦へ! 空き家をリノベーションしたシェアカフェで飲食店経営
公開日:2025年4月9日
商業を中心に、社会の現場を肌で感じ、『みせの価値』『まちの価値』を学ぶ、商学部マーケティング学科・長坂泰之教授のゼミでは、2022年度から飲食店経営に取り組んでいます。
本学卒業生の光山和弥さん(2018年3月卒業)からの打診によってスタートしたこの取り組み。今年度も、平野商店街(神戸市兵庫区)にある光山さんが運営するカフェ空間『KIKKAKE PLACE』にて、2年生のゼミ生14名が飲食店経営に挑戦します。
KIKKAKE PLACEは、空き店舗をリノベーションした空間。起業・創業を目指す方々が自由に出店できる場所で、1日ずつお店が入れ替わることが可能な仕組みとなっています。同ゼミでは2チームが1日ずつ出店。ゼミ生たち自身がビジネスプランや事業収支を作成し営業を行うことで、実際の経営を学びます。
11月24日(日) KIKKAKE PLACE 訪問
カフェ出店に向け、チーム分けやメニューの考案に取り組んできたゼミ生たち。11月24日(日)には、初めてKIKKAKE PLACEを訪問しました。
周辺調査を行ったうえで、この日、光山さんからKIKKAKE PLACEを作ったきっかけや思い、周辺の商業環境、出店にあたっての留意点などについて説明を受けました。
その後、それぞれで考えた出店プランを1人2プランずつプレゼンテーション。計28プランから2つのプランに絞り込みました。
光山さんからの、温かくも厳しいアドバイスを生かし、ゼミ生たちは1月にビジネスプランを完成。2月に試作を行い、3月には出店となります。4回目の挑戦となる今年度。より多くの方々に来店いただけるよう、取り組んでいきます。
2月10日(月) 試作
実践的に経営を学ぶため、毎年神戸市内の商店街にあるカフェ空間で飲食店経営を行っている長坂ゼミ。今年は2年生15名が2チームに分かれて挑戦中。2月10日(月)には試作会を行いました。
昨年11月のKIKKAKE PLACEでのプレゼンを経て、28のプランから絞り込んだ『ハンバーガー』と『フレンチトースト』の2プランでの出店が決定。その後、ディスカッションを重ね、完成させたビジネスプランを元に、この日の試作会に臨みました。
この日は、午前中にすまいるネット(神戸市すまいの安心支援センター)、午後からは国土交通省の方々がKIKKAKE PLACEを取材。ゼミ生が緊張の面持ちですまいるネットの取材に応える場面も見られました。
午前中は、『ハンバーガーチーム』が2種類のハンバーガーとチャンククッキーを試作。ハンバーガーは、それぞれの具材の焼き加減や分量を考えたり、味付けのタイミングや野菜とのバランスなどを調整したり。
また、チャンククッキーは4種類の味を試作。焼き上がりを見て、生地の固さや合わせる材料の分量、チョコレートを追加するタイミングを調整するなど、それぞれが、それぞれの役割で、黙々と作業を進めていました。
一方、都度都度全員でコミュニケーションを取りながら取り組んでいたのが、午後から試作に臨んだ『フレンチトーストチーム』。
提供するフレンチトーストとワンパントースト、パンの耳を使ったラスクを試作していきました。パンを卵液に浸す時間、それぞれの焼き加減、一つひとつの流れや注意点を確認。終始、和気あいあいとした雰囲気が漂っていました。
各チームとも、一つひとつの過程と完成形を写真に収めたり、完成した料理を自分たちで食べて味や食感を確認したり。また、この日の試作を経て、「本当にこのままの内容で問題ないか?」「価格とボリュームが見合っているか?」といった課題が浮き彫りになり、内容の改良が必要になったメニューもありました。
ここから出店までの間、今回の試作を通して見えた課題をひとつずつクリアしながら、併せて集客・告知も実施。そして、3月1日(土)にフレンチトーストチーム「HUWA HUWA」 、3月15日(土)にハンバーガーチーム「full café」が、【KIKKAKE PLACE】での飲食店経営に臨みます。
3月1日(土) カフェ運営①(フレンチトーストチーム)
第1弾のカフェ営業となった3月1日(土)。『フレンチトーストチーム』が、カフェ営業に臨みました。
2月の試作会を経て、メニューは4つに決定。フレンチトーストは、単品で800円、ドリンク付きのセットで1000円、ワンパントーストは1000円、ラスクは1袋300円(2袋500円)での提供としました。
初めての挑戦に、ほどよい緊張感が漂うなか、オープンに向けて準備を進めていくメンバーたち。そして、いよいよ迎えた10時のオープン。調理班は、お客さまの来店を待ちながら、引き続き準備に取り組んでいました。
一方、接客チームは店頭に出て、道行く人に声をかけたり、ラスクの試食提供を行ったり。積極的に呼び込みに励んでいました。この日は、天候に恵まれたこともあり、人通りも多く、午前中から好調な売れ行き。幸先のいいスタートとなりました。
Instagramや店前に貼付されたポスターを見て来店された方、偶然通りかかった方が次々と訪れ、その繁盛ぶりに「忙しくて手が追い付かない」と、嬉しい悲鳴を上げるゼミ生たち。また、お客さまのなかにはゼミ生たちのご家族の姿も見られました。
最初は、「本当に売れるのか」「このフレンチトーストではまったく売れないのではないか」ということろからスタートしたゼミ生たち。コンセプトから考え直し、『かわいい』をコンセプトにアピールした結果、目標に近い売り上げを上げることができました。
営業を終え、「余ったフレンチ―トーストの材料をラスクにして安く販売するなど、臨機応変な対応ができた」「お客さまのラッシュはあったけれど、笑顔で終えることができた」「お客さまの喜んだ顔や声にたくさん触れられて良かった」など、達成感を得た様子のゼミ生たち。一方、目標としていた『時給1000円』には一歩及ばず。「材料の買いすぎとフレンチトースト3人分の材料を余らせてしまったこと」「原材料の調達についてもう少し細かく意識ができれば・・」「スーパーマーケット前でのチラシ配布は一定の効果があったので、もう少し早くからはじめていれば良かった」と、その要因を振り返りました。
さまざまな課題にぶつかりながらも、その都度、全員で議論をしながら取り組んだ今回のカフェ営業。「売り上げの計画を達成する」「お金の管理をしっかりとする」といった経営面での課題は残ったものの、実践を通して学んだ多くのことは、ゼミ生たちの今後に生きる貴重な経験となりました。
この日の経験と反省を生かし、3月15日(土)に『ハンバーガーチーム』が同じ時間・場所で1日営業に臨みます。
3月15日(土) カフェ運営②(ハンバーガーチーム)
前日までの春の陽気が一転、肌寒くなった3月15日(土)、1日(土)の『フレンチトーストチーム』に続き、『ハンバーガーチーム』がカフェ営業に臨みました。
試食会から当日までに、メニューや値段、買い出し量などの細かい調整をしながら準備を重ねてきたチームメンバー。メニューは、ハンバーガー(セットのみの数量限定)、牛バラバーガー(単品600円)、ポテト(300円)、チャンククッキー(1枚200円・6枚1000円)などを用意しました。ハンバーガーは、ポテト・チャンククッキー・ドリンクのセットで1000円に設定。チャンククッキーはさまざまな味をそろえ、バーガーのチーズはガスバーナーで炙るなど、こだわりの内容に。
オープンと同時の来客で、一気に慌ただしくなる店内。準備中から漂っていたチャンククッキーの甘い香りとともに、肉を焼く香ばしい匂いが店中に広がります。それぞれの持ち場で、練習通りてきぱきと調理を進めるメンバーたち。キッチンの外では、注文のドリンクを用意したり、テイクアウト用のクッキーを袋に詰めたり。
店舗近くのスーパーにポスターを貼り、チラシを設置させてもらうなど、事前のPRに力を入れた本チーム。それが功を奏したのか、通りがかりの近所の方や、チラシを見た方など、大学の友人や知り合い以外のお客様も次々来店。はじめに用意したクッキーの詰め合わせはあっというまに減って追加で焼き上げることとなり、順調なすべりだしとなりました。
途中、近くに住むハンバーガー作りに詳しいお客様やKIKKAKE代表の光山さんからのアドバイスに、ゼミ生たちが真剣に耳を傾ける場面も。一方、店頭では、接客担当のメンバーがアルバイト経験を生かして積極的に声を出し、行き交う人に呼びかけていました。
お昼前からぽつぽつと雨が降り出し、冷え込んできたためか客足が止まってしまったものの、寒いなかでも、ビラを配り、道行く人に声をかけ、足を止めてくれたお客様に試食を勧め、一生懸命売り込むゼミ生たち。また、雨が降り出したことを受けて早めに値引きを判断した結果、最終的にはおおむね売り切ることができました。
その半面、各自の仕事に追われるなか、メンバー同士のコミュニケーション不足が積み重なって、売上実績と現金が合わなかったなどの反省点も。とはいえ、シフトや会計の流れといったあらかじめ決めていたことも当日の状況で変更するなど、ゼミ生同士で意見を出し合い、臨機応変に運営を進めることができました。
今回の実践結果をしっかりと振り返り、今後のゼミ活動に生かしていきます。
ゼミ生の感想
- チーム内で意見の違いからぶつかることがあったものの、人にはいろいろな考え方があると再認識することができました。相手の意見を尊重しながら行動するように心掛けました
- 試作から当日まで、レシピや材料の見直しを柔軟に行うことができましたが、レシピを可視化して全員で共有していたら、もっと均一に商品を提供できたのではないかと思います
- 一部のメンバーでは話すことができていても、全員で相談する機会が足りていませんでした
全員で話し合っていたら、もっと仲間意識が高まり連携も取れて、無駄な買い出しをせずに済んだと思います。次からは、全員で話し合える場を自分から設けるようにしたいです - 接客や調理など、それぞれの得意なことを生かして役割分担し、積極的に動くことができました
- 雨の予報を見て、早めに値下げした結果、予想よりもハンバーガーが売れてよかったです