岡田ゼミがコーヒー残渣を活用した“食のアップサイクル”に挑戦! 岡田ゼミ×イスズベーカリー
公開日:2025年7月24日
流通科学大学 商学部経営学科・岡田恵実准教授が率いるゼミが、2025年度より新たな社会共創プロジェクトを始動。そのテーマは、「食のアップサイクル」。
今回コラボするのは、神戸を代表する老舗ベーカリー『イスズベーカリー』。老舗喫茶『にしむら珈琲店』にもご協力いただき、コーヒーを抽出した後に残る“コーヒー残渣(ざんさ)”を素材として活用した、環境にやさしく、美味しく、そして“神戸らしさ”も感じられる新たなパンづくりに挑みます。
廃棄予定のモノに新たな価値を生み出す“アップサイクル”。パンという身近な食品を通して広く社会に発信していくことが今回のプロジェクトの大きな目的です。
ジブンゴトから始まる、リアルなプロジェクト
岡田ゼミでは、学生一人ひとりの「ジブンゴト」―身近な人の悩みや社会課題への気づき―を出発点に、実際のプロジェクトを通じて課題解決力を育む実践型ゼミを展開しています。今年度は、コーヒー残渣を“廃棄物”ではなく“未利用資源”ととらえ、本来捨てられるはずのものに新たな価値を生み出す「アップサイクル」をテーマに設定。
プロジェクトには、「廃棄物を資源へ」を理念に掲げるみらい廃棄物研究所がコーディネーターとして加わり、産学連携体制での本格的な取り組みがスタートしました。
7月3日(木) キックオフミーティング
7月3日(木)には、同研究所所長・斎藤広則氏と木村篤樹氏をお招きし、ゼミ生13名とキックオフミーティングを行いました。
グループディスカッションでは商品アイデアが続々!
まず、お二人からプロジェクトの経緯や概要、岡田ゼミに懸ける期待についてお話が。
ゼミ生たちは、お二人から語られる思いに頷きながら、このプロジェクトに対する熱量を上げていました。その後、4グループに分かれ、「話を聞いて感じたこと」「大事にしたいポイント・キーワード」「商品アイデア」についてディスカッション。想像力と発想力あふれるアイデアが飛び交う活気ある時間となりました。
「その手があったか!」プロからも驚きの声
各グループが発表したアイデアに、斎藤氏・木村氏からは驚きと称賛の声が。
「菓子パンだけでなく、総菜パンや食パンとしての活用も新鮮」
「その手があったか!という発想が出てきて頼もしい」
といったコメントが寄せられ、学生たちの着眼点と柔軟なアイデアに大きな期待が寄せられました。
初めての経験と試行錯誤を楽しみながら、8月に商品提案
今回の取り組みは、流通科学大学では初となる「食のアップサイクル」に関する商品開発プロジェクト。その初めての取り組みに挑む岡田ゼミの学生たち。
冒頭の自己紹介では、「初めての経験で緊張している」「岡田先生からはとても難しい取り組みだと聞いている」といった声が上がる一方、「初めての試みにワクワクしている」「どんな商品が出来上がるのか楽しみ」といった声も。その言葉通りディスカッションが始まると、どの学生も表情がパッと明るくなり、楽しそうにアイデアを交わしていました。
これから1人2つ以上の商品アイデアを考えていくゼミ生たち。
商品開発において何を大事にするのか。そしてそれをどう商品のアイデアに盛り込むのか。試行錯誤を重ねていきます。
8月4日(月)には、イスズベーカリーの工場を訪問。見学後には、それぞれが考えた商品アイデアを提案します。
パンづくりをきっかけに、「食の循環」の可能性を探る
今回のプロジェクトにおける「パンの商品開発」は、コーヒー残渣という廃棄物が、新たな価値を持って食卓に戻るまでのプロセスを“見える化”する取り組みでもあります。
学生たちは、アップサイクルの本質や社会的意義についても深く学びながら、未来につながる循環型社会のあり方を発信していきます。
「アップサイクル」は、モノの再利用を超えて、社会や暮らしへの新たな価値を生み出す発想。学生たちは、この取り組みを通じて、“課題”を“可能性”に変える思考力と実行力を養っていきます。
今後の岡田ゼミの活躍に、どうぞご期待ください。
8月4日(月) 工場見学&商品企画提案
前回のグループディスカッション時から、さまざまな商品アイデアを口にしていたゼミ生たち。以降、約1カ月にわたり、そうしたアイデアをより具体的に落とし込み、それぞれ1~2案の商品企画を考えてきました。
そして夏休み3日目の8月4日(月)、イスズベーカリーの工場を訪問。見学の後、それぞれの企画を提案しました。
初めて見た“パン屋の裏側”に、一同興味津々!
まず、同社の代表取締役・井筒大輔氏案内のもと、工場を見学。
生地作りから成形の工程では、生地の色の違いの理由や使用されている材料について説明を受けました。また、実際に生地を触らせていただく場面も。その後、生地の発酵について学び、実際に発酵部屋の湿度も体感しました。
続いて窯場へ。通常の窯だけでなく、食パンやフランスパン専用の窯があることに、一同驚いていました。各々の窯の特徴について、井筒氏が実践を交えながら説明すると、ゼミ生たちからは納得の声が。そして最後は、仕上げを行う部屋で、人気の商品などについても説明を受けました。
初めて見るパン製造の裏側に興味津々だったゼミ生たち。各部門の説明の際には、みな前のめりになって、作業の様子に見入っていました。
コンセプト、見た目、食べるシーン…渾身の商品企画を提案
工場見学の後は、会議室に場所を移し、井筒氏から会社概要やこれまでのコラボ遍歴、商品誕生に至るストーリーなどについて説明を受けました。
そしていよいよ、商品企画の提案へ。ゼミ生たちは、商品のアイデアだけでなく、商品名とコンセプト、見た目のイメージやパンの中味、さらに推しポイントや食べるシーン、商品のストーリーまで、さまざまな視点から考えたアイデアを順番に発表していきました。


発想がおもしろいからこそ、『ネーミング』にもこだわりを
学生ならではの発想を「おもしろい」「自分の経験に着想を得ているからこそのストーリーがある」と評価された井筒氏。一方、『コーヒー残渣を使用して新たなパンを作る』ということが主目的であることに触れ、そこがブレると「購入するお客さまが混乱してしまう。お客さまは、パッとみてわかりやすい商品、イメージができる商品であれば、躊躇いなく購入しやすい」と、消費者行動について説明されました。そのため、それぞれのネーミングに対しても「もうひとひねりほしい」と指摘。「いいアイデアだからこそ、ネーミングにももう少しこだわりを」と話されました。
想像以上の完成度の高さに、「2〜3商品で考えたい」
最後の全体講評では、「想像していた以上に完成度の高い提案内容にいた」と話された井筒氏。どの提案にも興味を示されていたものの、製造上どうしても対応が難しい企画があるのも事実。その企画と理由について説明したうえで、「商品を1つに絞らなくていいと思う。というか、どちらかといえば2~3商品で考えたい」と、ゼミ生たちに伝えました。

最後に、ゼミ生たちにお土産が。井筒氏のご厚意で、揚げたての同店人気商品『牛すじ煮込みカレーパン』をひとつずつご用意いただき、緊張から解放されたゼミ生たちはみなテンションがあがっていました。
10月の『神戸パン祭』に向け、次回はいよいよ試食会!
ここから、ゼミ生全員で相談し、“岡田ゼミとして”商品化するアイデアを決定。
さらに、10月に開催される『神戸パン祭』と、11月の本学学園祭『りゅうか祭』での販売に向けた販促ツール(チラシやポスター、POP等)も、ゼミ生自身の手で制作していきます。
そして次回は、いよいよ試食会。
井筒氏に、ゼミ生発案の商品を試作していただき、本学にて全員で試食し、実販売に向けた最終調整を行います。