家島の活性化に取り組む辻本ゼミ。3年生は『OpenStreetMap』での魅力発信に挑戦!
公開日:2025年12月11日

2023年度から『家島活性化プロジェクト』に取り組んでいる人間社会学部心理社会学科・辻本乃理子准教授のゼミ。4年生は、昨年度改修に取り組んだ空き家を、学生の家島訪問時の活動拠点『家島BASE』と名付け整備やルール作りに尽力しています。
一方、家島BASEを拠点とした家島の魅力発見と情報発信を軸に活動している3年生。現在、発信ツールとしての『デジタルマップ』制作に精力的に取り組んでいます。
6月6日(金) デジタルマップ制作に向けた講義
この日のゼミ活動では、デジタルマップ制作に向け、OpenStreetMap Foundation Japan副理事・坂ノ下勝幸氏を招き、『OpenStreetMap』について講義をしていただきました。
『OpenStreetMap』とは、誰でも自由に利用できるように作成・公開されている無料の地図サービス。世界中の有事作業者(世界に190万人、日本に約1万人)が建物や道路のデータを入力・編集しており、誰でも自由に参加・編集・利用することができます。
ゼミ生たちも、この『OpenStreetMap』を活用して、家島の魅力を発信していきます。
6月15日(日) 清掃活動/現地調査

4月の交流フェスでの活動発表時に、今後の活動目標として『海水浴場の清掃』を挙げたゼミ生たち。その実現のため、6月15(日)に4名が家島を訪れ、清掃活動を行いました。
活動目標の清掃活動とデジタルマップ制作の調査
真浦港で自転車をレンタルすると、まず家島BASEへ。そして、真浦地区周辺を散策後、青水の浜海水浴場での清掃活動を開始。空き缶や中身の入ったペットボトル、ポリタンク、劣化した発泡スチロール、マスクなどさまざまなゴミを、一つひとつ拾い上げていきました。結果、ゴミ袋30袋分のゴミを回収。
清掃活動終了後は、現地調査。デジタルマップに掲載するためのスポットを巡り、写真を撮影しました。
7月11日(金) デジタルマップ制作作業準備
7月11日(水)には、再びOpenStreetMap Foundation Japanの坂ノ下氏にお越しいただき、6月の家島での活動成果を踏まえ、実際のデジタルマップ制作作業の準備を行いました。

まず坂ノ下氏が、島内の各スポットを表示するための“家島デジタルマップ”を作成。その使い方について、指導を受けたゼミ生たち。続いて、この地図を「誰のために」「何を表示するのか」について、全員でディスカッションしました。
8月13日(水) 現地活動
夏休み真っただ中の8月13日(水)、デジタルマップに表示するスポットを訪問し写真を撮影するため、ゼミ生3名が家島を訪問しました。
フェリーは満席。家島の注目度向上を実感
この日はお盆ということもあり、フェリーは満席。多くの若者の姿も見られ、家島の注目度が上がってきていることを実感しました。今回は、6月に『OpenStreetMap』の講義を行っていただいた坂ノ下氏にも同行いただき、真浦地区から活動をスタート。


島内を巡りながら写真撮影&地図にピン打ち
まずゼミ生たちが向かったのは、『どんがめっさん』。真浦港から歩いてすぐのところにある亀の形をした岩のことで、家島の人たちの守り神でもあります。そして、その脇を上がって家島の景勝地『家島十景』のひとつと言われる『城山公園 間浦古郭跡』へ。続いて、真浦地区の商店街や集落を回った後、宮地地区へ。同行いただいた坂ノ下氏からのアドバイスを受けながら、7月に考えた「誰のために」「何を表示するのか」を踏まえて、地図にピンを打ち、写真撮影を行っていきました。
10月10日(金) デジタルマップ制作作業

いよいよ、8月の活動の際に撮影した写真を『OpenStreetMap」に掲載する作業へ。そこで10月10日(金)、本学にてOpenStreetMap Foundation Japanの坂ノ下氏に指導を受けながら実践に臨みました。
マップ掲載写真はWikimedia Commonsにアップ

冒頭、坂ノ下氏は「デジタルマップ上に掲載する写真は、Wikimedia Commonsにアップする必要がある」と話し、写真のアップに際して決められたさまざまなルールについて説明。それを踏まえて、ゼミ生たちは各々のスマホに格納されている写真のなかから、 Wikinedia Commonsにアップする写真を選定していきました。
ここから次回11月の家島での現地活動までに、『誰に』『どのように』地図アプリを使ってもらいたいか、を考えていくゼミ生たち。さらに、その地図をどのように広めていくのか、についても検討を重ねていきます。
12月6日(土) “State of the Map Japan 2025” に登壇
家島を舞台にしたデジタル観光マップ制作の取り組みを発表

家島の魅力発信を目的にデジタルマップ制作を進めてきた3年生が、オープンデータのカンファレンス “State of the Map Japan 2025 x West-Japan Wikimedia Conference” に登壇。これまでの成果と今後の展望を発表しました。
State of the Map Japanとは
State of the Map(SotM)は、世界中のボランティアがつくるオープン地図 OpenStreetMap(OSM) の国際カンファレンスシリーズです。
OSM を編集するマッパー、技術者、企業・団体などが集い、2008年から継続。日本では2012年以降、国内・国際会議を開催しており、地図の可能性について議論される重要な場となっています。
(参考:公式サイト https://stateofthemap.jp/2025/)
SNS世代に刺さるデジタルマップをつくりたい
-奥出さんが発表「家島活性化のための地図づくり」
登壇した3年生・奥出さんは『家島活性化の為の地図作り~大学生が考える観光マップの姿とは~』をテーマに、ゼミの取り組みとデジタルマップ制作プロジェクトを紹介しました。冒頭では、
「観光地に来たのに目的地がわからない」
「喉が渇いたのに、自販機の場所が見つからない」
といった“観光地でよくある困りごと”を観客に問いかけ、会場には大きな共感の反応が。
学生たちは、この課題を デジタルマップで解決する という視点から活動を進めてきました。家島では紙のマップは整備されているものの、デジタル版は未整備。
一方で、サイクリングや「島チャリ」利用者など、スマホでの情報取得ニーズは高く、観光資源との相性が良いデジタルマップの必要性を強調しました。
OSM を活用し、細かなニーズに対応できる“痒い所に手が届くマップ”を目指していることも紹介。
地図の名称は「いえしまてくてくマップ」。
若者や家族連れが使いやすく、SNS投稿にもつながるようなマップづくりを進めています。


発表を終えて -学生たちの声
- 家島の活動をこのような場で紹介でき、自信と意欲が高まった
- 地図づくりの魅力を共有でき、OSMへの関心が広がっていることを感じた
- 完成に向けて、もっと面白いマップがつくれそうだと実感した
また、当日は2年生も参加しており、先輩の発表に強い刺激を受けた様子。
「より多くの人に使ってもらえるマップにしたい」と、来年度からの参加に意欲を見せています。
「いえしまてくてくマップ」完成へ向けて、プロジェクトはいよいよ本格化
今後は2年生も加わり、マップ掲載情報の収集、現地調査、ユーザーテストなど、制作をさらに加速させていきます。
学生の視点で家島の魅力を再発見し、それをデジタルで発信する取り組みが、家島の新たな観光導線づくりにつながることが期待されています。













