【秦ゼミ×稲美町】ふるさと納税事業者に学ぶ地域密着ビジネスとデザインの視点。「鶏の店 かしわ家」オーナー・古山暁彦氏に学生たちがインタビュー

【秦ゼミ×稲美町】ふるさと納税事業者に学ぶ地域密着ビジネスとデザインの視点。「鶏の店 かしわ家」オーナー・古山暁彦氏に学生たちがインタビュー

公開日:2026年9月7日

ふるさと納税事業者に学ぶ地域密着ビジネス1

流通科学大学と兵庫県稲美町による産官学連携は15年ほどの歴史を持ち、秦ゼミとしての取り組みも今年で5年目を迎えます。秦ゼミでは同町のふるさと納税を盛り上げることを目的に、町内に拠点を構える返礼品事業者へのインタビュー調査を行っています。
8月4日、学生たちは「鶏の店 かしわ家」のオーナー・古山暁彦氏を訪問。「企業と地域の関わり」「食材・調理のこだわり」「ブランド・販売戦略」という3つのテーマを設定し、経営トップへのインタビューを通じて事業家としての考え方やデザインの視点を学びました。

地域の課題を“Win-Win”で解決する戦略的視点

ふるさと納税事業者に学ぶ地域密着ビジネス2

「企業と地域の関わり」という質問を通じて学生たちがまず学んだのは、ふるさと納税を活用した認知拡大と地域活性化の相乗効果です。

クリエイティブデザイナーの経歴を持つ古山氏は、「どんなに良いECサイトを作っても、まずは知られなければ売れない」というビジネスの厳しさを痛感していました。だからこそ、ふるさと納税事業者への登録を単なる販売チャネルとしてではなく、自店舗の認知度向上と地域への貢献を両立させる「Win-Winの戦略ツール」として捉え、参入の契機としたのです。デザインの前にまず「知ってもらう仕組み」を構築する視点に、学生たちは深く頷いていました。

「地産地消」と「デザイン」を掛け合わせた商品開発

食材や調理に対するこだわりからは、「地産地消」のビジネス的な利点に気づかされました。
同店では稲美町産の米を使用することで、鮮度の保持だけでなく、仕入れコストの削減や地元とのつながり強化といった多くのメリットを生み出しています。また、流通が不安定な鶏肉も「鮮度が違う」という理由から、兵庫県産の鶏肉を仕入れるよう努めています。

さらに学生たちの関心を惹いたのが、目玉商品の開発プロセスです。11年前の開業当初、古山氏は淡路島を視察中に出会った「しらす丼」に乗っていた黄身の“シズル感”に着目しました。「このビジュアルならクチコミが広がるはず」というデザイナーならではの仮説を立て、3ヶ月の研究を経て現在の看板メニューを確立させました。出汁から手作りし、時代に合わせて味をブラッシュアップしていくなど、「変わらぬ味と変えていく味」を切り分ける徹底したこだわりに、実践的な商品開発の発想を学び取りました。

デジタル時代における「アナログな接客」の価値

販売戦略において学生たちの深い学びとなったのが、「オンラインにおけるあたたかさの伝え方」です。

同店では、通信販売の同封メッセージを単なる定型文で済ませることはしません。実際に店舗でお客様と接している店長が作成しています。リピートにつなげるためには感動の提供が不可欠であり、「接客さえも料理を美味しくさせる調味料である」という哲学のもと、SNSでも面白さや一生懸命さが伝わる発信を心がけています。ECサイトやランディングページというデジタルの場に、いかにアナログな「人のあたたかさ」を実装するか。その難しさと重要性を学びました。

飲食業界の未来と、学生たちへのメッセージ

ふるさと納税事業者に学ぶ地域密着ビジネス3

現在、同店は物価高騰や人手不足といった課題に対し、客単価アップやテイクアウト需要を狙った商品の開発を進めるなど、新たなビジネスチャンスを模索しています。また、今後は地域のイベントへの参加や企画の売り込みにも注力していきたいと、今後の展望が語られました。

インタビューの最後、古山氏から学生たちへ力強いメッセージが送られました。
「AIに奪われる仕事は増えていくが、飲食は絶対になくならない。会話が上手じゃなくても、心で通じる瞬間がある。人とのコミュニケーションが最大の武器になる」
中小企業ならではのサービスを追求し続ける古山氏の姿勢を垣間見た秦ゼミの学生たち。ビジネスの本質と向き合う視座を高める貴重な経験となりました。

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