復興したまちの、その先へ。長坂ゼミが陸前高田で考えた「地域を続ける」ということ
公開日:2026年9月25日

商学部・長坂泰之ゼミが、2026年9月4日(金)から6日(日)まで岩手県陸前高田市を中心にゼミ合宿を実施しました。
東日本大震災から15年。今回の合宿で学生たちが見つめたのは、震災からの「復興」だけではありません。 復興したまちを、これからどのように持続させていくのか。
地域商業の現状や、そこで暮らす人々の声に触れながら、「復興の先にあるまちの未来」を考えました。
「陸前高田=被災地」から、「今のまち」へ。現地を歩いて見えたもの
陸前高田を訪れる前、学生たちが抱いていたのは、「東日本大震災で大きな被害を受けたまち」「復興途中のまち」というイメージでした。しかし、実際にまちを歩いてみると、その印象は変わっていきました。
「思っていた以上にまちがきれいに整備されている」
「自然が豊かで、のどかなまちだった」
「住民の方が明るく、親切だった」
アバッセたかたや図書館、個性的な店舗などを訪れるなかで、学生たちは「被災地」という言葉だけでは捉えられない、現在の陸前高田の姿を知りました。
一方で、東日本大震災津波伝承館や奇跡の一本松を訪れ、地域の方々から震災当時の話を聞くことで、目の前にあるまちの姿が、甚大な被害と長年にわたる復興への取り組みの上にあることも実感しました。
「被災地を見る」だけではない。
過去を知ったうえで「今のまち」を見つめることで、学生たちの視点は少しずつ、その先へと向かっていきました。
「この魅力、どう伝える?」地域の商店から考える、まちの可能性
合宿では、地域商業の現状を知るため、中心市街地の店舗を訪問。商業者へのヒアリングや来訪者へのアンケート調査も行いました。
「いわ井」では、若者・来訪者の視点から店舗の魅力を調査。地域に関係する商品が豊富にそろい、店内を見て回るだけでも陸前高田らしさを感じられることや、店主との距離の近さなどを魅力として捉えました。その一方で、「何がおすすめなのか」「なぜこの商品が陸前高田らしいのか」が、初めて訪れる人にもさらに分かりやすく伝われば、商品の魅力をもっと引き出せるのではないかという意見も。


また、「東京屋・東京屋カフェ」では、震災後の環境変化に合わせて新たな事業に挑戦してきた姿を学びました。震災前は、ブティックと化粧品販売を中心としていた東京屋は、現在ではカフェや手づくり民芸品などを取り入れ、「モノを売る」だけではない価値を提供。市外からの来店客が約7割を占めるほか、ドリップコーヒーの商品化によって店舗の外にも市場を広げています。
こうした事例から学生たちが考えたのは、「昔からの商売をそのまま続けること」と「商売を守ること」は、必ずしも同じではないということ。地域にある魅力を見つけ、組み合わせ、変化する顧客に合わせて新しい価値をつくり、それを伝えていく。教室で学んできたマーケティングの知識が、現地の商店を通して具体的な問いへと変わっていきました。
復興の先にある「地域を続ける」という問い
今回の合宿では、陸前高田市だけでなく、大船渡市、宮城県南三陸町志津川地区、女川町も訪問しました。
大船渡では、地域企業が整備したオープンファクトリー、南三陸では震災遺構と南三陸さんさん商店街、女川では再建された中心市街地などを視察。同じ東日本大震災の津波被災地であっても、地域の特性や復興の方法はそれぞれ異なることを学びました。
また、陸前高田商工会で参加した市場開発セミナーでは、「目線を遠くに向ける」ことの重要性について学びました。現在だけを見るのではなく、これから起こり得る課題や可能性を考えることで、「先の一手」を打つことができる。その考え方は、今回の合宿全体を通じて学生たちが考えた「復興の先」とも重なります。
建物や道路、商業施設を再建することは、復興の大きな一歩です。
しかし、その先には、そこで暮らす人、商売を続ける人、訪れる人、そして新しいことに挑戦する次の世代がいます。
「震災で被害を受けたまち」から、「震災を乗り越え、次のまちづくりに挑戦するまち」へ。
現地を歩き、地域の人の話を聞き、商店を調査し、異なる被災地と比較する。
そうした経験を通して、学生たちは「復興とは何か」だけでなく、「復興した地域を、これからどう続けていくのか」という新たな問いを見つけました。
学生たちは今後、今回の現地調査やアンケート、地域の皆さまとの交流から得た学びをさらに整理・分析。地域の皆さまへの還元や、地域商業の持続可能性についての研究・実践活動につなげていきます。












