【岡田ゼミ×イスズベーカリー】コーヒー残渣から生まれた「サステナブレッド」。学生たちの商品開発と販売への挑戦

【岡田ゼミ×イスズベーカリー】コーヒー残渣から生まれた「サステナブレッド」。学生たちの商品開発と販売への挑戦

公開日:2026年11月6日

岡田ゼミの学生がイスズベーカリーの試作パンを試食する様子

今年度は「おいしいから選ばれる商品づくり」を目指し、イスズベーカリーと連携して、コーヒー残渣を活用したパンの商品開発に取り組んでいる岡田ゼミ。

8月には製造工場を見学。コーヒー残渣を使ったパンのアイデアをプレゼンテーションし、43の企画アイデアから3案に絞り込みました。
そして、9月17日(木)には、3案を実際にパンとして形にした試作品を試食。味や食感、見た目などを確かめながら、さらに商品として磨き上げていきました。

今年度、岡田ゼミの学生たちが取り組んでいるのは、コーヒー残渣を活用した「おいしいから選ばれる商品づくり」。
昨年度は、商品の価値をどう見つけ、どう伝えるか、を考えてきました。今年度はその視点を踏まえ、環境への配慮を購入の理由にするだけでなく、まずは「おいしい」と感じてもらえる商品を目指します。

おいしさを通じて商品が選ばれ続けることが、食品ロスなどの社会課題の解決にもつながる。そんな持続可能な商品づくりに挑戦しています。

43案から選ばれた3つのパン。いよいよ試食へ

今回、試作されたのは「コーヒーの木」「塩パン」「餅ボール」の3種類。

「コーヒーの木」は、フランスパンのようなハード生地。見た目の良さに加え、ちぎりやすくシェアしやすい形が特徴です。一方で、クランベリーが入っている部分はおいしいものの、入っていない部分は少し物足りないという意見も。学生からは「クランベリーを生地に練り込んではどうか」と改善案が出ました。

岡田ゼミとイスズベーカリーが開発したコーヒー残渣を活用した3種類の試作パン

続いて「塩パン」。3種類のなかでも学生たちから特に高い評価を得た商品で、「一番おいしい」「一番コーヒーの味が感じられた」「コーヒーの苦味も感じられて飽きがこない」といった声が上がりました。そして、最後に試食したのは「餅ボール」。もっちりとした生地でさつまいも餡を包んだ商品で、食感とシェアしやすさが好評。さつまいもをイメージした見た目にするなど、形についてのアイデアも出されました。

ただ「おいしかった」で終わらないのが、今回の試食。
どこが良かったのか。どこが気になるのか。
誰が食べるのか。商品として販売するなら、何を変えるべきなのか。
学生たちは、実際に食べたからこそ見えてきた細かな違和感を言葉にしながら、3つのパンを見つめ直しました。

プロの講評を受けて、最後に決めるのは自分たち

試食後には、イスズベーカリーの井筒社長からも一つひとつのパンについて講評がありました。

「コーヒーの木」については、学生から出た「クランベリーを生地に練り込む」という案に対して、生地に練り込むことで形をきれいにつくることが難しくなること、さらに価格が上がることが課題になると指摘。「塩パン」については、「そのままでも大丈夫なのでは」としながら、コーヒー残渣の量が適切かどうかを確認する必要があるとの意見が出されました。「餅ボール」については、「子どもでも分けて食べられる」「コーヒーが苦手な人でも食べられる」といった点が評価され、「一番食べやすい」との講評に。
そして3商品について、「総じてレベルが高かった」と評価されました。

プロからの意見を聞いた後、学生たちは改めてディスカッション。
「コーヒーの木」は、クランベリーを生地に練り込むのではなく、売り方を工夫することでこのままの商品を生かすことに。「塩パン」は、コーヒーペーストの量を今のままで進めることで決定。そして「餅ボール」は、形そのものを変えるのではなく、パッケージデザインで変化をつける方向に決めました。

イスズベーカリー井筒社長から試作パンの講評を受ける岡田ゼミの学生
試作パンの商品化に向けてディスカッションする岡田ゼミの学生

プロの意見をそのまま採用するのではなく、意見を受け止めたうえで、自分たちの商品をどうするのかを考えて決める。
商品開発は、ここからさらに販売という次のステージへ進みます。

「おいしい」だけで終わらせない。パンを届けるところまでが商品開発

10月末には「パン祭り」に出店。ブースの広さやチラシの配布など、販売に向けた準備についても質疑応答が行われました。
今後は、それぞれの商品の価格などを決定。10月末の「パン祭り」、そして11月の学園祭で販売に臨みます。

学生たちからは、
「自分たちが考えたパンが形になることに不安もあったが、良い形にしていただいたので、自分たちも頑張ります」
「パンの味とか美味しさも大事だけど、コンセプトを忘れずに売り方を考えていきたい」
と、今後に向けた意気込みも聞かれました。

学生たちが目指しているのは、単に「コーヒー残渣を使ったパン」を完成させることではありません。

どんなパンなら食べたいと思ってもらえるのか。
どうすれば、その価値が伝わるのか。
そして、「コーヒー残渣を使う」という取り組みそのものを、どう届けるのか。

考えて、つくって、食べて、意見を聞いて、また考える。
完成したパンを「売る」のではなく、自分たちが考えた価値を、今度はお客様に届ける。

学生たちの商品開発は、販売という新たなステージへ進みます。

ついに「神戸パン祭り」で販売

神戸パン祭りで来場者にパンを販売する岡田ゼミの学生たち

仮説を立てて臨み、すべてのパンが完売!

商学部・岡田恵実准教授ゼミの学生16名が、10月31日(土)、ハーバーランドセンタービル「スペースシアター」で開催された「神戸パン祭り」(主催:兵庫県パン協同組合)に出店し、神戸の老舗ベーカリー「イスズベーカリー」と共同開発したパン『サステナブレッド』3種を販売しました。

『サステナブレッド』は、コーヒーを抽出した後に残る「コーヒー残渣」をペースト化した食材を使ったパンです。9月の試食会でプロの講評を受け、改良の方針を決めた学生たち。ついに一般の方に販売する日を迎えました。

販売した『サステナブレッド』3種

  • もっちりコーヒーおいもボール(4個入り)
    コーヒーの風味を練り込んだもちもちの生地に、さつまいものやさしい甘さを合わせたひとくちサイズのパン。コーヒーが苦手な方でも食べやすく、シェアにも向いています。
  • コーヒー香るじゅわっと塩バターパン
    生地全体にコーヒー残渣を練り込み、中央にもコーヒー残渣とバターを巻き込んで焼き上げました。バターのコクと塩気に、コーヒーのほろ苦さが重なります。
  • コーヒーの木パン
    コーヒー残渣を練り込んだフランスパン生地を木の形に成形し、クランベリーとピスタチオを木の実や葉に見立てました。コーヒー残渣の“もと”であるコーヒーの木をモチーフに、「循環」を形で表したパンです。

1時間で100個以上の好調な売れ行き。「仮説」を立てて臨んだ当日

用意したのは、塩バターパンとおいもボールが各90個、コーヒーの木パンが60個の計240個。学生たちはこの日に向けて、パン祭りに来場する人の年齢層や好みを想定し、仮説を立てながら準備を進めてきました。

当日は、学生ならではの元気な声かけで売り場を盛り上げ、販売開始から1時間で100個以上を販売しました。

「この日に向けて、来場される方の年齢層や好みを考えながら準備してきました。1時間で100個以上売れて、とても嬉しいです。今日の結果を学園祭での販売に活かせるよう、しっかり売り切りたいと思います」(プロジェクトリーダー 商学部3年鹿嶽さん)

当日はメディアの取材も入り、取り組みへの注目の高さがうかがえました。取材には、プロジェクトリーダーを務める商学部3年の神田真帆さんと鹿嶽真希さんが対応し、今回の取り組みについて自分たちの言葉で伝えました。

神戸パン祭りでメディアの取材に対応する学生たち

想定を覆した「コーヒーの木パン」

3種のうち、最も準備数を少なくしたのはコーヒーの木パン(60個)でした。

試食会の段階では、具材のない部分が物足りないという声もあり、学生たちが「売り方の工夫で活かす」と決めたパンでもあります。

神戸パン祭りの販売ブースで来場者に説明する学生

「コーヒーの木パンは見た目のインパクトが強いぶん、あまり売れないのではないかと考えて準備数を抑えていました。ところが、実際にいちばん売れ行きがよかったのはこのパンでした。パン祭りに来られる方はパンが好きで、普段からいろいろなパンを食べ慣れている方が多いと思います。そうした方には、コーヒー残渣という素材はもちろん、ユニークな見た目のパンが面白く映ったのかもしれません。お客さまの属性によって販売戦略を立てる必要があると実感しました。実際に販売してみて初めて得られた気づきです」(同)

「おいしいから買う」に、「食のアップサイクル」という価値を

指導教員の岡田准教授は、今回の取り組みと価格設定について次のように話します。

「単に“コーヒー残渣をアップサイクルした”だけでなく、イスズベーカリーさんの協力でおいしさも追求できました。“おいしいから買う”というシンプルな消費行動の中に、“食のアップサイクル”という付加価値を組み込んだ取り組みです。コーヒー残渣のペースト化には技術的なコストがかかりますが、今回、学生たちは利益を大きく取ることよりも、まず多くの人に手に取ってもらい、コーヒー残渣を知ってもらうことを優先して、価格を控えめに設定しました。学生たちの活動そのものが、コーヒー残渣の認知拡大につながることを期待しています」

次の販売は「りゅうか祭(学園祭)」と「ブランチ神戸学園都市」

ゼミ生たちは今回の販売で得た気づきをもとに、11月7日(土)8日(日)の学園祭「りゅうか祭」と、商業施設「ブランチ神戸学園都市」での販売に向けて準備を進めます。学園祭と商業施設では、訪れる人の顔ぶれも異なります。場に合わせて売り方や伝え方をどう工夫するのか。開発から販売まで、学生たちの挑戦は続きます。

神戸パン祭りの販売ブースに集まった岡田ゼミの学生たち
製造工場見学の様子

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