家庭用プロセスチーズのトップメーカーが目指す、アフターコロナのビジョン
公開日:2020年10月10日
10月7日(水)、第1回目となる『企業論特別講義』を実施しました。
『企業論特別講義』とは、日本を代表する各業界の企業のトップを講師に招き、日常ではなかなか知ることのできないビジネスの本質を学ぶもの。本学では1990年から実施しており、今年で30年目になります。
今年度第1回目となったこの日の講師は、六甲バター株式会社代表取締役副社長の塚本浩康氏。QBBチーズで有名な神戸を代表する企業であり、本学の卒業生も活躍しています。
ナチュラルチーズを超えるプロセスチーズを
この日の講義は、ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い、プロセスチーズの製造工程、新商品開発や人気商品誕生の秘話など、チーズ好きには興味深い内容からスタート。そして、QBBベビーチーズの国内シェア約7割を占める家庭用プロセスチーズのトップメーカーとして、『QBBにしか提供できない価値』『これからの社会変化への対応』についてお話しされました。
「日本はもとより世界の人々への豊かな食文化の提供を通して、世界一のプロセスチーズメーカーを目指したい。また、ナチュラルチーズを超えるようなプロセスチーズを作っていきたい」と、今後のビジョンを語った塚本氏。アフターコロナの時代へ向けて意識しているキーワードを3つ挙げられました。
作り手の思い=ストーリーの共有
ひとつ目は、『量より質』。食は、人生を豊かに幸せにする要素だからこそ、もっとおいしく、もっと健康になる、心を豊かにする商品を提供していきたい、といいます。
ふたつ目は、『モノからコト、コトからイミへ』。作り手としての強い想い=ストーリーをお客さまと共有することで、「我々が作る『モノ』が『コト』になり、それが『イミ』につながっていく」と。最近は、よりそこを意識しながら活動しているそうです。
最後は、『社会活動に食で応える』。ウィズコロナの今、さまざまなことが大きく変わりました。アフターコロナの時代にはさらに変わっていくことが予測されるからこそ、新しい時代の社会課題にどのように食で応えていくか?ということを考えている、といいます。それを、「皆さんのような若い世代の方々と一緒に考えていきたい」と。
“縁”と“運”を以て、成長・発展していきたい
同社には『六甲バターフィロソフィ』というものがあります。六甲バターの目指すもの、経営の判断基準、行動の指針となる『言葉』を体系化したもので、4章69項目で構成。いつでも見れるよう手帳にし、共有・実践するために各職場でフィロソフィ朝礼や定期的な研修を実施されているそうです。
このフィロソフィの一番最後、69項目目は『運と縁をいかす』という言葉。塚本氏は、「この“縁”で、昨年、流通科学大学から1名が我々の仲間になり、今、のびのびと仕事をしています。これを聞いている皆さんとも何かの縁で結ばれたらいいな、当社の製品を通してそのような縁が広がっていくといいな、と思います。その縁を通して結ばれた人たちと、運をもって成長・発展していければ」と、今の思いを話されました。
アフターコロナの時代に求められる人とは・・
そして最後に、学生たちへ次のようなメッセージを送りました。
「自ら考え、自ら行動する人になってください。また、行動するためにどういう働きかけをしないといけないのか、ということをしっかり考えていく必要があると思います。これは、社会人になったら自然とできる、ということではないので、今からいろいろなことを考え行動していく訓練をしていってください。これからは、そういう人が求められる時代だと思います」。
今年度の企業論特別講義は、対面と動画での講義を併用しながら進めていくことになります。初回のこの日は、動画での講義となりましたが、学生たちは塚本氏が話す言葉に真剣に耳を傾けメモを取るなど、対面時と変わらぬ姿勢で講義に臨んでいました。