チャンスは平等じゃない。でも、チャンスがゼロの人はいない ープロデュース論ー
公開日:2022年7月19日
さまざまなメディアの第一線で活躍するプロフェッショナルから、新たな価値を生み出す力を学ぶ『プロデュース論』がスタートしたのは、4月。第7回目となった6月2日(金)は、株式会社FM京都のDJ・パーソナリティの森夏子氏を講師に迎え、『セルフプロデュース』と『言葉が持つ意味』についてお話しいただきました。
自己アピールに大事なのは、“見えないもの”を“伝える”作業
阪神淡路大震災で友人を亡くし、「人間、明日死ぬかもしれない。なんとなく入ったこの会社で、なんとなく時間を過ごして、なんとなくでいいんだろうか?」と考えるようになった森氏は、新卒で入社した会社を1年で退職。別の会社でしばらく働いた後、お母さまの言葉をきっかけに、25歳のときにタレント事務所へ。事務所の社長に「社会人を2回も経験した人が、今さら芸能人になれないよ」と言われながら、ラジオのDJとしての仕事をスタートして24年。その醍醐味を『見えないものを伝えること』だと話した森氏は、「これから就職活動などで、いろいろな人に、いろいろなカタチで、自分をアピールする機会がやってくると思います。そのとき、見えないもの、見えない思い、を誰かに伝えるという作業がとても大事だということを忘れないでほしい」と、学生たちに伝えました。
目の前の瞬間を“チャンス”と思うかどうか
タレント事務所に所属後、たくさんのオーディションを受けたという森氏。そのなかで痛感したのは『チャンスは平等じゃない』ということ。でも一方で、オーディション会場に行けたということは、『チャンスがゼロの人はいない』とも感じたのだとか。森氏は「チャンスというのは、自分でつかみにいくもの。目の前の瞬間をチャンスと思うかどうか。気づかないと自分のところにチャンスはやってこない。自分は受からないと思ったとき、ダメだと諦めるのではなく、自分の名前を一人でも多くの人に覚えて帰ってもらうことの方が大事だな、と思える切り替え。頭のなかを回転させて、チャンスが自分にやってくるような方法をどれだけ探せるかが大事」だと言います。
伝わる伝え方に必要な3つの要素
面接や人前での自己紹介の際、限られた時間のなかでいかに自分のことを覚えてもらうか。そのために大事なのは、「誰に、何を、どうしたいか。この3つだけ」。そのために一番参考になるのは新聞記事だといいます。
とはいえ、何を考えればいいのかわからないという学生に、森氏がアドバイスしたのは「普段生活しているなかで、“なぜ” “なに”という“ワクワク”を常に探すこと」。日常をちゃんと感じ取っていく。その積み重ねが、“なぜ” “なに”につながっていく。「気になったものは、調べる。通り過ぎない。なんとなくやり過ごさない。ちゃんと調べて知識にすること。そして、100調べたら、99は捨てて、1を話す。みんなが知りたいのは、凝縮された濃い部分のひとつだけ。それが、“伝わる伝え方”で伝えるポイント」と話しました。
言葉は生きている。だから、大切に使うこと
講義の終盤、学生たちに「言葉は生きています。だから、必ずポジティブワードを使うようにしてください」と強く伝えた森氏。「自分がワクワクしたことをどんどん話す。喋らないと言葉の力は落ちていきます。ポジティブワードを運んでくれるような体験をし続けて、発信するときはポジティブワードを使う。それがみなさんにたくさんのハッピーを呼んでくるキーワードになります」と。
また、SNSへの投稿時には、「この言葉は誰かを傷つけないか?」ではなく「この言葉は誰かをハッピーにするのかな?」を大事にしてほしいと話した森氏は、こう付け加えました。「生きているとしんどいことは山ほどあるし、思い通りにいかないことなんて山盛りあります。誰かのせいにするのは簡単だけど、ポジティブワードを使って、“なぜ” “なに” を探して、少しでも自分がワクワクしていくと、目の前の景色が変わってくる。そのとき、一番大事なのが、言葉です」。
どんなときも、自分の道は自分でプロデュースする
そして講義の最後に、森氏は学生たちへ次のようなメッセージを贈りました。
「自分の未来を創るのは誰でもない自分自身です。常に、自分の道は自分でプロデュースする、ということを忘れないように。いろいろなことに興味をもって、いろいろなところに出かけて、いろいろなことを体感して、体感したことは必ず、伝わる伝え方で誰かに伝える。人生はサバイバルです。しんどいことの方が多いけど、そういう人生の方がすごく考えるし、考える癖がつく。答えを出そうともがくから、どうしたら答えが出るかにも気づきます。だから、“なぜ” “なに” を忘れず、キャンパスライフを楽しんでください」