『観光施設計画論』で“CBT”を学ぶ学生が、神戸市灘区水道筋商店街でフィールドワーク
公開日:2024年11月22日
人間社会学部観光学科・山川拓也准教授の授業のひとつに『観光施設計画論』があります。
この授業のテーマは、【CBT(コミュニテイ・ベースド・ツーリズム)】。CBTとは、地域が主体となり、その土地の歴史や文化、産業、暮らしなどを守りながら、それらを観光コンテンツとしてもアピールし、持続可能性に配慮しつつ地域の活性化を目指すもの。受講する学生たちは、【地域の観光事業者】【地元住民】【旅行者】の各視点でCBTを理解し、一般に“観光地”とみなされないローカル区域内での交流創出に向けたマーケティング的方法論や観光施設計画について学んでいます。
9月末からの授業のなかで、『持続可能な観光』におけるCBTの位置づけ、地域で実践される『まちづくり』とCBTの関係について理解を深めてきた学生たち。株式会社宿場JAPANの代表の渡邊崇志氏を招き、CBTにおける【観光事業者(エリアマネジメント)】の視点についても学びました。
そして、10月26日(土)には、【地域住民】および【旅行者】の視点でCBTを理解するため、神戸市灘区の水道筋商店街界隈でフィールドワークを実施しました。
この日、学生たちは自分自身を『観光体験に異日常性や地域と融合する感覚を求める“旅行者”』と仮定。事業者や地域の課題である「具体的にどのようなコンテンツやプログラムがあると、旅行者が求めるような感覚(ニーズ)を刺激し、交流を超える関係の構築に向けて発展させることができるのか」をテーマに、現地を歩きながら実践的に考えていきました。
まず、神戸市灘区で地域融合型ゲストハウスを運営する朴徹雄氏から、開業までのいきさつや苦労、商店街や市場とのつながりなどのお話を聞きました。そのなかで、地域が抱えるいくつかの課題に言及される場面もありました。
続いて、朴氏のゲストハウスで普段は宿泊客にだけ実施する『食べ歩きツアー』を特別に体験。商店街の歴史や変遷に関するお話を朴氏から聞きながら、水道筋商店街や灘中央市場の店舗を巡った学生たち。積極的にお店の方とコミュニケーションを図りながら各店舗での試食を楽しんだり、さまざまな用途で活用される防災空地を見学したり。商店街と市場に溢れるローカルな雰囲気を堪能しました。
その後は、グループごとに約2時間の自由調査。学生たちはそれぞれ、気になることがあれば自分から声をかけて積極的に質問に行き、地域の生の声や情報を収集しました。
最後は、朴氏が運営する『ゲストハウス萬家(マヤ)』を見学。街のコミュニティと良い関係が構築できるようにこの場所に決めた、という朴氏。地域の人の力を借りながら自分たちでDIYをして作り上げたこだわりのゲストハウスに、学生たちも興味が尽きない様子。屋上では、目の前を走る阪急電車に向かって手を振るなど、すっかり童心に戻る場面もありました。
質疑応答では、「ゲストハウスの宿泊者は日本人と外国人どちらが多い?」「インバウンドが増えていくなかで考えて取り組んでいることは?」「どういう人に来てほしい?」など、積極的に質問。そのひとつひとつに丁寧に答えられる朴氏の言葉をもらさないよう、学生たちは熱心にメモを取りながら聞いていました。
学生たちにとって、広い視野で“観光”をとらえる良い機会となった今回のフィールドワーク。今後は、この日のフィールドワークで得た情報や調査結果を整理し、課題に対する提案を考え、12月上旬には関係者に向けて成果発表を行う予定です。
参加学生の感想
- 初めてのフィールドワークでしたが、商店街や地域の魅力を感じた
- 調べるだけではわからないことを学ぶことができた
- 地域の人は親しみがあり、人の温かみを感じた
- 質問してもノリよく返してくれて、また行きたいと思った