『新酒まつり』での販売をもって『神戸ワイン認知拡大プロジェクト』が完結!
公開日:2022年11月8日
5月26日(木) 神戸ワイン認知拡大プロジェクト『説明会』
またひとつ、新たな社会連携企画がスタートしました。その名も『神戸ワイン認知拡大プロジェクト』。
5月26日(木)には説明会を実施し、担当教員である人間社会学部観光学科の西村典芳教授が、プロジェクトの詳細および今後のスケジュールについて説明を行いました。
本プロジェクトは、神戸ワインが抱えている課題を解決するため、神戸ワイナリーにてブドウの生産やワイン醸造について学び、神戸ワインの認知拡大につなげる提案・企画運営を行うもの。参加学生たちは、西村教授指導のもと、ワインセミナーや園場での除葉作業・収穫体験を行いながら、認知拡大に向けた提案や商品開発に取り組んでいきます。
6月15日(水) 参加希望者が集合。『オリエンテーション』を実施
5月下旬の説明会を経て、6月15日(水)に『オリエンテーション』を実施しました。
神戸ワインを製造する【神戸ワイナリー】の運営会社である一般社団法人農政公社の方からのお声がけによりはじまった、今回のプロジェクト。1984年、【神戸ワイナリー】開園と同時に販売がスタートして以降、国内外を問わず評価されてきた神戸ワインですが、一方で課題も。そこで、本プロジェクトでは、神戸ワインが抱えている「関西圏以外で知名度が低い」「地元神戸で飲めるお店が少ない」という課題の解決策を考えていくことになります。
この日のオリエンテーションには、10名の学生が参加。まずは、一人ずつ前に出て自己紹介を行いました。その後、担当教員である西村教授より、今後の予定について説明。参加した学生の多くが、「ワインが好き」「ワイン造りの工程に興味がある」と話していて、今後の取り組みを楽しみにしている様子でした。
6月18日(土) いよいよ、本格始動。ぶどうについて知り、ぶどうに触れる!
6月18日(土)は、ワインの製造を行っている神戸ワイナリーを訪問。原料となるぶどうについて知り、触れてみるところからスタートしました。
この日参加したのは、10名。まずは、座学で神戸ワインの歴史やワイン造りの工程について学びました。その奥深さに触れ、よりワインに魅了された様子の学生たち。講義の後、本日行う“グレープガード”という作業について説明を受け、全員でぶどう農園へ。
“グレープガード”とは、ぶどうの房のうえをビニールフィルムで被覆して雨避けをすること。ぶどうの小さな実が雨にあたると、腐ってしまったり、病気にかかったりするため、雨の多い日本でのワイン造りにとって、非常に重要な作業。雨からぶどうの果実を守ることで、高品質のぶどう生産が可能となります。
雨上がりで蒸し暑さを感じるなかでの慣れない農作業に困惑する学生たち。それでもみんなで協力しながら、夢中になって “グレープガード”の設置に励んでいました。
ワイン造りの基礎である、ぶどうの育成に関わったことで、興味はありつつも少し縁遠かったワインに親しみを持つことができたようです。
作業終了後、神戸ワイナリーの方から、学生たちにシャンパンとぶどうジュースが提供されました。お酒をあまり飲んだことがなかったり、シャンパンを初めて飲むという学生も多く、「これからワインについて詳しくなりたい」と意気込んでいました。
自分で汗を流して作業に取り組んだ後の乾杯は、格別。いつも飲むお酒とはまた違ったおいしさがあったようで、参加した学生たちは贅沢なひとときを過ごしました。
7月13日(土) ワインについてさらに知る
この日は、神戸ワイナリーの担当者が本学を訪れて講義。前回のフィールドワークを通して学んだワイン造りの知識に加え、現在の神戸ワインの実情について理解を深めました。
販売状況や消費者推移等の数値化されたデータをもとに、神戸ワインの現状を把握。そのうえで、今後目指していきたい姿についてもお話しいただきました。また、神戸ワインを知るためには、その母体となる『日本のワイン業界』について知る必要があります。日本のワイン消費数量の推移からワイン業界について、さらには気候変動や後継者不足など業界全体が抱えている問題まで、さまざまなことを学んだ学生たち。
こうした背景や現状を踏まえ、消費者に神戸ワインの魅力をどう伝えていくのか。商品コンセプトの立案から広告販売戦略までを考えていきます。
8月~9月 ぶどう(リースリング&カベルネソーヴィニヨン)を収穫
夏休み中の学生たちが再びぶどう園へ集結。ぶどうの収穫作業を行いました。
6月に“グレープガード(ぶどうの房の上をビニールフィルムで被覆して雨避けをすること)”作業、7月にはぶどう畑の剪定を行ってきた学生たち。そうして手をかけてきたぶどうが、いよいよ収穫のタイミングを迎え、夏休み返上で収穫作業に臨みました。
先に収穫を行ったのは、白ワイン用のリースリング種のぶどう。前日までの雨も上がり収穫日和となった8月18日(木)に、200kgを収穫しました。これは後に、約200本の白ワインに姿を変えることになります。
そして1か月後の9月13日(火)。続いては、カベルネソーヴィニヨン種のぶどうの収穫作業。太陽がじりじりと照りつける真夏日のこの日、赤ワイン約120本分となる120kgのぶどうを収穫しました。
ぶどうの育成に携わることで、興味とともにどんどん思い入れも深くなっている様子の学生たち。炎天下のなかでの作業とはなりましたが、みな黙々とぶどうの収穫を楽しんでいました。
これらのぶどうによって造られる神戸ワインをどのように販売していくのか。学生たちはここから販売戦略を構築していきます。
9月28日(水) ワインのラベル&販売戦略を考える
ぶどうの収穫を終えた学生たちはこの日、10月の『新酒まつり』に出すワインのラベルデザインや販売戦略について考えました。
ワインにおいてラベルは重要。そのワインを象徴するようなラベルであることが大事です。学生たちも、それぞれが考えるラベルのデザインを出し合い、ディスカッション。実際に自分たちでぶどうを収穫したことで、よりワインのイメージも膨らんだようで、真剣にデザインを考えていました。
また、『新酒まつり』当日は、学生たちもブースを出してワインを販売します。自分たちが関わってきたワインをどのように販売していくか。一人でも多くの方に購入して味わってもらうためには何が必要か。意見を出し合い、戦略を構築しました。
10月29日(土) 『新酒まつり』にて神戸ワイン“みのり”を販売
10月29日(土)・30日(日)に、神戸ワイナリーで開催された『新酒まつり』。学生たちは、ぶどうの収穫からラベルデザインまでを手掛けた神戸ワイン“みのり”を販売しました。
準備のため、朝早くに集まった学生たち。一人でも多くの方に手に取ってもらえるように思いを込めながら、ボトル1本1本に手作業でラベルを貼り付けるなど、黙々と準備に励みました。
そして、いざイベントがスタート。こうした販売が初体験の学生たちの表情には、緊張が滲んでいました。行き交う人にどう声をかけたらいいのか、戸惑いの色が隠せない様子。その結果、なかなか販売ブースに足を止めてもらうことができず、どうアピールしたらいいか悩んだ末、急遽POPを作成することに。それを手に、慣れないながらも一生懸命声をかけ続けていると、次第に興味を持ってくれる人が増えていきました。
学生たちの頑張りが実を結び、初日は早々に予定本数を完売。その売れ行きに神戸ワイナリーの方々も驚かれ、急遽追加販売が決定。この結果が、学生たちの自信になったようで、2日目は朝からリラックスした表情で、販売を楽しんでいました。
当初は、赤・白あわせて100本(各日)限定の予定でしたが、2日間で214本を販売しました。当初、足を止めてくれる人も少なく、思うように販売できず、心が折れそうになっていた学生たち。しかし、イベントに来ていた卒業生からの言葉に勇気づけられ、積極的に取り組むことができるようになったことも、今回の結果につながったようです。
5カ月に渡った今回のプロジェクトも、ここで一旦終了となります。この取り組みを通して、たくさんの“初めて”を経験した学生たち。大変なことも多かったですが、それ以上に得たものは大きく、販売体験を終えて感じた“達成感”もまた、初めて経験するものでした。
来年1月に開催される【第2回 次世代観光経営フォーラム(主催:一般社団法人 日本観光経営学会)】にて、学生たちは今回のプロジェクトへの取り組みを発表する予定です。